■基本はいいマツダ3だが足のセッティングが微妙
続いてマツダ3。ロードスターから乗り替えると、足の動きはしなやか。それを支えるボディもずっと剛性が高いので、基本的にはいいクルマだ。しかし、かつてのプレマシーのような感動はない……。
この世界最高レベルのデザインをまとった最新かつ渾身のマツダ世界戦略車に乗り、「2代目プレマシーに遠く及ばないなぁ」とボヤかれるというのは、けっこうマズイのではないか!? なにがどうしてこうなった?
2代目、3代目プレマシーに代表される走りのよさは、前述のように接地性のよさが核だった。それはすなわち、VWゴルフに代表されるようなヨーロピアン・ベーシックの走り。マツダの場合はそれよりちょい格下の、オペルとかヨーロッパフォードあたりの感じね。
ヨーロッパでふつうにレンタカー借りて、コルサとかフォーカスでアウトバーン走ると、走りのよさ(≒接地性のよさ)に心底感動するのです。その感動がマツダ車にもあった。
しかし、走り・デザイン・パワーユニットの三拍子を揃えたマツダは、次なるステージを目指した。それはヨーロピアン・プレミアム! 具体的にはアウディあたりでしょうか? んで、足をスポーティに硬め始めたのではないか。すべて推測ですが。
確かに2年くらい前までのアウディは、速度域の低い日本で乗ると足が硬すぎてキツかった。その感じはマツダ3にもある! でも似てるのは硬さだけ! そのほかの部分は追いついてないので、足だけ硬めてポンポン跳ねて接地性が悪化し、結果的にヨーロピアン・ベーシックなよさも失っている。
これは、リアトーションビームサスという形式が悪いわけじゃなく、セッティングの方向性が間違っているのだと思う。サス形式なんてなんであろうと、走りのいいクルマは作れる。私が乗ってたシトロエン・エグザンティアなんてトレーリングアームだよ! コーナリング中にジョイント超えると横に吹っ飛んだけど、あんなに普段走りの気持ちいいクルマはなかった。
SKYACTIV-Xエンジンも、あぶはち取らずと言いましょうか。パワーと燃費の両立が目的だったのはわかるし、それは相当程度実現してるけれど、コストを無視してる。ユーザーメリットよりも、ガソリン圧縮着火そのものが目的になっちゃったのか。
それでも、相変わらず凄いのはデザインだ。マツダ3のデザインは本当に素晴らしい。このシンプルに磨きこまれた曲面の美しさ! デザインがよすぎるがゆえに、足回りがそれに引っ張られて背伸びした気さえする。
いずれにせよ、マツダ33には高いポテンシャルがある。足のセッティングの方向性を以前に戻せば、それだけでとってもいいクルマになるはず! でも断固拒絶するでしょうね、今のマツダは。頑固一徹なので。でもでも、マツダ3は、世界最高レベルに美しいCセグハッチバックだし、全体としては「その意気やよし!」である。今後の伸びに期待しようじゃないか!
■時間の経過で優位性が薄れたマツダ2&マツダ6
では、マツダ6とマツダ2はどうでしょう。
マツダ6はアテンザそのもの。いろいろ改良したとは聞いておりますが、目をつぶって乗ったらその差を言い当てるのはムズカシイです。
いや逆に、マツダ6も「アウディ化」を狙って、かえって接地性が若干悪くなったような気がする。どうしてもギャップでタイヤが路面から離れるような瞬間があるのです。その直後「ドン」とハーシュネスが来る。マツダ6はベースが古いだけに、少々痛々しさがなきにしもあらず。
パワーユニットはSKYACTIV-Dの2.2。8年前は大感動したけれど、現在もそのままで、ほとんど進化しておりません。ほんのちょっとスムーズで静かになったけど、ヨーロッパのライバルたちはそれをはるかに超えるレベルで改良されているので、今やかつての優位性はない。
ATも8年前と同じ6速のまま。事実上、パワートレーンはほぼ進化がない。デザインは決して悪くないけど、さすがに古さは隠せない。結論として、新車を買いたくなるかと言われると、う~ん。
マツダ2もまったく同様。デミオとしての登場時よりは全体にブラッシュアップされたけれど、大幅な進化は見られず、それでいてはっきり上級移行を目指したので、ポジショニングが非常にキツイ!
今回乗ったのは1.5Lディーゼルの豪華Lパッケージで、オプション込み価格は約277マンエン! さすがにこりゃキビシィ……。現在のマツダの苦境は、この277マンエンのデミオ、じゃなかったマツダ2に集約されている気がしないでもない。
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