■走行中の音振性能に若干の課題も
すこし気になったのは、高速走行中に音がこもるような印象を感じたことだ。音圧変動と表現するのが適切か難しいが、耳がボアボアするようなこもる感じだ。
ルークスのロードノイズは、トップクラスの静粛性を持つN-BOXと同等レベルだが、この音圧変動があるのでN-BOXほどすっきりとした印象をうけない。後席シート下のフロアパネルがむき出しになっていたり、後席スライドドアの内張りがぶわぶわと面揺れを起こしていたりと、音圧変動につながりそうな部分も見受けられた。
操縦安定性、乗り心地、ロードノイズは、ライバル車と比べても、トップレベルで優れているのだが、こうした詰めの甘さが影響してか、車室内の動的な質感が、N-BOXに届いていないように感じた。
■気になる実燃費や価格はどうか?
実燃費は、高速道路80%、一般道20%の試乗コースで、NAが22.5km/L、ターボが22.2km/Lだった。カタログにあるWLTCモード燃費は、NAが20.8km/L、ターボが18.8km/Lのため、どちらも上回ることになった。一般道走行が増えれば数字はまた落ちるだろうが、それでも優秀なエンジンである。
最後に価格だが、「ルークスハイウェイスター Gターボ プロパイロットエディション(ターボ2WD)」は、トータル234万9657円、「ルークスハイウェイスター G プロパイロットエディション(NA 2WD)」はトータル226万0117円と、200万円を大きく超えてきた。どちらも最低限必要なオプションを入れただけなのに、だ。
価格設定は、標準車の「ルークス X」が約155万円、「ハイウェイスター X」が約173万円。そのハイウェイスター Xにプロパイロットをつけると約184万円となり、さらにターボありで約193万円となる。
約28万円のナビレコパック(9インチモニターナビ、ドライブレコーダー、ETC2.0、USBソケット)は実質、必須装備となるので、満足のいくルークスを仕上げようとすると、このように200万円を超えるのは確実となる。
ホンダセンシングを標準採用したN-BOXもほぼ同等の価格感であり、こうしたやや高価な軽スーパーハイトワゴンがバカ売れするのを考えると、メーカーが力を入れる理由がよく分かる。
新型ルークスのクルマとしての完成度は、びっくりするほどに高い。ただ、重箱の隅を突けば、N-BOXには及んでいない部分が見える。とはいえ、そんな些細なことは気にせず、普段の買い物使いからドライブ、長距離旅行まで、使い倒してみれば、新型ルークスの考え抜かれた使い勝手が、しみじみと感じられるだろう。
過去最強レベルの軽スーパーハイトワゴンを作り上げた日産が、このコロナ騒動が落ち着いた先で、どれほどの逆転劇をくり広げてくれるのか楽しみだ。
■主要諸元表
ルークスハイウェイスターXプロパイロットエディション(2WD)
●全長×全幅×全高:3395×1475×1780mm
●ホイールベース:2495mm
●車両重量:970kg
●駆動方式:前輪駆動
●エンジン:BR06-SM21 直列3気筒ガソリンエンジン
●排気量:0.659L
●最高出力:38kW(52ps)/6400rpm
●最大トルク:60Nm(6.1kgf・m)/3600rpm
●モーター最高出力:2kW/1200rpm
●モーター最大トルク:40Nm/100rpm
●動力用主電池:リチウムイオン電池
●トランスミッション:エクストロニックCVT
●サスペンション前後:前/マクファーソン式
後/トーションビーム式
●タイヤ前後:前/ 155/65R14
後/ 155/65R14
●WLTCモード燃費:20.8km/L
●最小回転半径:4.5m
●燃料・タンク容量:無鉛レギュラーガソリン・27L
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