スバル STI史上最高のS208に世界初試乗!! その走りに700万円の価値はあるのか!?

STIのコンプリートカーで史上最高のスペックを持つ「S208」を、ついに世界初試乗!! S208は最上級モデルで710万6400円と高価ながら、既報のとおり限定450台の4倍以上、約1900台の受注を誇る人気ぶり。すでに申込は終了したので今から買うことはできないが、購入者にとってはプレミアもの。そんな究極の1台に、約700万円の価値はあるのか!?

文:松田秀士/写真:平野学
ベストカー2017年12月10日号


S207と「たった1馬力の違い」は体感できるのか?

エンジンの最高出力は329ps/7200rpmで前型のS207より1ps向上。最大トルクは44.0kgm/3200~4800rpmでS207と同一
エンジンの最高出力は329ps/7200rpmで前型のS207より1ps向上。最大トルクは44.0kgm/3200~4800rpmでS207と同一

スペック上ではS208の最高出力は329馬力で、S207よりわずかに1馬力だけアップしている。ピークトルクも発生回転数もS207と同じだ。では、その違いはいったい体感できるものなのだろうか?

さっそく走り始めてみる。個人的には、ベースとなるWRX STIのEJ20型エンジンを全開加速するたびに思うのだが8000回転もいらないだろう、ということ。

実は7000回転以上では急に渋くなって、エンドまで回さないでシフトアップしたほうが速い、と感じていたのだ。

それが、初めてS207に試乗した時に〝コレは!〟と驚くほど高回転域での勢いが衰えなかった。だからS208に〝もっと!〟を期待してしまう。

1速でアクセル全開をくれてやる。当たり前に8000回転までが速く、若干オーバーシュート。2速、3速とシフトアップするとエンジン回転の上昇率が観察するにはちょうどよいレベルになる。

明らかに7000回転以上での“抜け感”がスッキリしているのだ。さらに、全回転域で振動が少なくなっているので、高回転域をキープしていてもエンジンそのものが悲鳴を上げているようにはみえない。

しかし、世の中にはもっと強烈な2Lターボエンジンが存在する。例えば、メルセデスA45AMGは360馬力を発生する。スバル通としては、そのあたりを軽く超えてほしいものだ。そのあたりを試乗に駆けつけてくれた、S208の開発責任者、STI商品開発部長の森宏志さんにぶつけてみた。

「設計初期にどこまでパワーの上限を持っていくのか、ということが一番大きな問題です。パワーの余裕を持たせれば、それだけ重量も重くなるしフリクション(抵抗)も増え、燃費の悪いエンジンになってしまいます。EJ20はそのあたりのバランスが優れたエンジンなのです」とのこと。

S208のハンドリングはグレードによって違う!!

最上級グレードのNBRチャレンジパッケージ(カーボンリアウイング仕様)
写真のNBRチャレンジパッケージは標準車と異なり、ルーフがカーボン製に。足回りも最適化されている

では、進化したS208のハンドリングはどうなのか?

興味深いのは、スチールルーフとカーボンルーフでサスペンションのセッティングを変えていることだ。

理由は、カーボンルーフの場合、上物が軽くなり低重心になるのとカーボンを骨組みに張り付けている関係から若干ボディ剛性が落ちるというのだ。そこで、主にフロントダンパー(ビルシュタイン製ダンプマチック)の伸び側を強化して適正化を図っているのだ。

その差はコーナー進入でフロントのロールがやや大きく、イン側に一番入り込む部分でフロントを軸に巻き込むような挙動を見せるスチールルーフに対してカーボンルーフは安定感が強い。腕に自信があればスチールルーフのハンドリングはおもしろい。なにしろステア切り角が小さくてよく曲がる。

DCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)をオートモードにしても、カーボンルーフでオートにして“マイナス”にセットした状態よりもターンインがシャープなのだ。

対BMWでもスポーツ度はS208に軍配

S208(左)とBMW M240i(右)。同車のエンジンは直6ターボで340ps/51.0kgmを発揮
S208(左)とBMW M240i(右)。同車のエンジンは直6ターボで340ps/51.0kgmを発揮

今回はS207開発時にベンチマークにしたというBMW M235iの後継車である、M240iを持ち込み比較してみた。まずシートに座った時点でコンフォート感が高い。S208はレカロシートで、タイトなフィット感と剛性感が魅力で、シートはこのレカロの得点が高い。

しかし、総合的なフラットライド感はM240iで、通勤にも使えるような日常性面でS208はまだ追いついていない。このあたりは可変減衰ダンパーを採用しないと、スポーツとコンフォートの両立は難しいとみる。

ただ、S208は19インチ、M240iはエアボリュームの大きな18インチタイヤということも大きく影響している。エンジンは3Lターボの余裕で、圧倒的に中速域でトルクのあるM240i。しかも排気音がよりレーシーだ。

そしてハンドリングだが、意外にもM240iは操舵初期の応答性が低く、コーナリング初期の気持ち良さは圧倒的にS208に軍配。

スポーツ度という観点で採点すると、S207が90点、M240iが85点、S208は94点としたい。

では、冷静に考えてベース車WRX STIに比べて上乗せ分の価値があるのか、というと、そこはやはり徹底したエンジンのチューニングとカーボンルーフを含めたハンドリングの価値観を考慮して、「価値あり」と判断する。

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