■GRヤリスの「もう一歩」な点は?
●インタークーラーの冷却用スプレーの水容量が少ないかも
ラゲッジスペース下の12Vバッテリーの横に置かれるインタークーラーの冷却用スプレーのタンクの容量は3.7Lである。
撮影のため水を2L入れて冷却用スプレーを作動させたところ、あっという間に使い切ってしまった。競技に使わない筆者には関係ないにせよ競技の現場、特に夏場のラリーなどでは問題になるかもしれない。
■GRヤリスの「期待外れ」は?
●街乗りでの刺激の薄さ
筆者のGRヤリスは普通に街乗りしていると、扱いやすいこともあり普通のMT車といえばMT車で、この点に関しては前車のトヨタ86の方が楽しさ、刺激があった。
その原因は86の楽しさ、刺激の理由と対になると思うのだが、筆者は2つあると考えている。1つは着座位置の高さで、86はシッカリに低いのに対しGRヤリスは一番下げても高い。2つ目は3000回転以下のエンジン音が静か過ぎるためで、86はノーマルマフラーで3000回転以下でも音量は充分だ。
この2点は衝突安全性や騒音規制といった86の頃よりも厳しくなっている法規をクリアしながらスポーツモデルを造るという苦悩、難しさなのかもしれない。
着座位置はシート交換、音量は合法的なマフラー交換に交換すれば済み、それぞれそれなりに費用は掛かるにせよ楽しみとも言えるだろう。なお、着座位置を低くできるとブレーキを踏んだ際のフィーリングやヒール&トーといった操作性もいい方向になる可能性が大きいと思う。
■なぜGRヤリスはアイドリングストップ付き?
昨年あたりからエンジンだけで走るトヨタの新型車はアイドリングストップ無しが増えている。筆者はトヨタがアイドリングストップを付けることによる環境負荷や出費を総合的に見て非装着にしていると考えている。
なのに、GRヤリスの市販モデルに付いていたのには呆然とした。なぜなら、ただでさえアイドリングストップ用のバッテリーは高いのに、そもそもリア用バッテリーを使うクルマも少なく高価で、二乗に頭が痛いからだ。
いろいろ事情もあるにせよ、せめてアイドリングストップOFFをデフォルト(基準)とするモードを付けて欲しい。
と文句も書いたが、総合的に見て筆者はGRヤリスに大満足しており、今後はサーキットなどのスポーツ走行を含めいろいろなところを走りたいし、手も加えてみたいと考えている。こうした前提で考えると最大の懸念は以下のことである。
■最大の不満はGRヤリスがホモロゲーションを取らないという噂?
GRヤリスはモータースポーツ参戦の際に有利なように3ドアボディや後方にいくに従って下がるルーフライン、精度と量産性を両立するライン生産ではないセル生産方式を採用した。
それがWRCのような国際的なモータースポーツ参戦に必要なホモロゲーション(連続する1年間に2万5000台生産したという証明)を本当に取らないとしたら……。
確かにWRCのトップカテゴリーとなるWRカーのレギュレーションが2022年からベースボディが自由かつハイブリッドとなれば、ホモロゲーションは関係ないのかもしれない。
しかし、GRヤリスは「2021年WRCの後半戦という短い期間だけでも有利なクルマで戦いたい」という想いもあり開発されたクルマで、筆者は僅かでもその支援になればという気持ちもあって買った。
WRCはWRカーだけではなくいくつかのカテゴリーがあり、日本人なら下のカテゴリーでもWRX STIやランエボのようにGRヤリスがたくさん走っている姿を見たいに決まっているではないか。
そのためGRヤリスが本当にホモロゲーションを取らないというならGRヤリスの存在意義が一気に薄れてしまうのは否めない。
そうならないよう、今からでも遅くないからプロモーションやモータースポーツに参戦するユーザーの支援を頑張ってもらい、ホモロゲーションを取得してGRヤリスが世界中のモータースポーツで活躍して欲しいというのがオーナーである筆者最大の願いである。
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