空力バランスが目覚ましく向上
このような変更は空気抵抗が増しダウンフォースにも悪影響を与えてしまうのだが、フロントエアスポイラーの形状変更と剛性をアップしリブを追加するなどして空力バランスは向上させている。
それを証明するかのように1コーナーや130Rなど、高速コーナーの飛び込みへのステアリング応答が速くフロントタイヤが路面をしっかりとらえているのだ。
普通、高速コーナー進入では若干アンダーステアー気味にフロントが反応することで安心感をフィードバックするものだが、リミテッドエディションにはそれがない。
しかし恐怖心もないのはリアもしっかりしているから。いやどのコーナーでもしっかりしているわけではないから前後バランスが絶妙にとれているのだ。
これは空力バランスだけではない、サスペンションのリファインが大きく影響している。
サスペンションのリファインで意のままに!!
まずタイプR初採用となったBBS製の専用ホイール。鍛造アルミホイールはリム厚を2.6mmとして1輪あたり約2.5㎏、4本で約10㎏の軽量化。
リムはハブセンターから遠いので回転時のジャイロ効果が大きく、高速域でのハンドリングへの影響が大。バネ下は軽量化がモノを言うが、回転部分への影響は多大だ。
さらに前後サスペンションのブッシュ類の適正化。今回、サスペンションのバネレートやスタビライザーなどに変更はない。
しかし前後ブッシュを見直すことでコンプライアンスによる、フロントのバンプトーアウト、リアのバンプトーインをより明確に起こすようにしている。特にリアはバンプする直前の応力が入った瞬間にトーインを発生させている。
さらにこれに合わせてザックス製アダプティブ・ダンパーのプログラミングをリミテッドエディション専用セットとしている。
そしてタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を採用。もうこのタイヤ、Sタイヤぐらいグリップ高し。そりゃダンパーも合わせなきゃダメでしょ。
もうこれらによって、コーナーへのターンインが高速だろうがヘアピンだろうが面白いほどフロントが入ってゆく。
エイペックでのハーフアクセルでの速度維持も思いのまま。さすがにタイヤがタレてくると若干アンダー気味になってくる。
どんなタイプのドライバーでも楽しめる
ダンロップコーナーへのアプローチは3速ハーフスロットル。タイヤが元気なうちはすぐに全開で駆け上がったけれども、タレるとインに付けない。
ここまではどんなクルマでも同じだけれども、いったんアクセルをOFFにしないとどんどん膨らんでしまうもの。
しかしリミテッドエディションは一定のアンダーステアーを維持したままアクセルOFFにすることなく駆け上がってしまう。つまりアンダーコントロールがアクセルとステアリングで自在! 市販モデルでこれはかなり驚き。
久々にダンロップコーナーを走ってみて。以前S耐久で走ったときは実にスムーズな路面で走りやすかったけど、今回は適度に路面が波打ってきている。
昔、F3000で走っていた頃のダンロップコーナーはもの凄いアンギュレーションが路面にあって、クルマは飛び跳ね足のセットが決まらないと全開ではいけないものだった。
あの時ほどではないけれども、やっぱりダンロップコーナーってこうだよな、と口ずさみながらリミテッドエディションの挙動をチェック。
上下のバウンシングが1回で収束している。次々とうねる路面をしっかりと捉え、アクセル全開であっという間にエンジンリミッターが働きステアリングを切り込んだまま4速にシフトアップだ。忙しいがそれがまた楽しい。
ここでひとつ。フロントのグリップが上がったのでリアがついてこず、リアもグリップ向上のためのリファインを行ったとのこと。でもまだまだフロントのほうが勝ってますよ。
だから丁寧なステアリング操作がキモです。速く走るには。
しかーし、楽しみたいなら素早いステアリング操作でリアが流れます。電子制御が守ってくれるのでスピンはしません。だからどんなタイプのドライバーも楽しめるでしょう。
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