■「エンジンはブロック以外を、そして足もボディも徹底的に作り直した」
実は2年半前の2015年4月、台湾のサーキットでU6に初めて乗る機会があった。
その時は水野さんがLUXGENの開発に関わり始めて間もないタイミングで、「第一弾、とにかく最初に手を入れたかった部分を改良しただけ」というマイチェンだったのだが、それでもエンジンやシャシーに手を入れていて、従来型との乗り比べでエンジンの中間域でのトルクの出方、つながり方などが大幅に改善されていることを体感した。
今回はそれから2年半、「エンジンはブロック以外、全面的に新設計。足もボディも徹底的に作り直した」と水野さんがホワイトボードを使って渾身の説明をする。
GTとGT220、2タイプが用意されているのだが、GTはスタンダード仕様でGT220がハイパワーエンジンを搭載するスポーティ仕様と理解すればいい。エンジンは日本のレースエンジン開発で名を馳せる東名エンジンが開発を担当。
レースエンジン開発からフィードバックされた燃焼技術が盛り込まれているのがポイント。1798ccの直4ターボで、GT用は202ps/30.6kgm、GT220用は222ps/31.6kgmを発揮する。トランスミッションはアイシン製の6速ATが組み合わされる。
エンジンは格段にパワフルになっている。GTに乗っても体感的にハッキリとわかるほど。
特に2000~3000rpmにかけての低中速域でのトルクの立ち上がりが大きいので、アクセルをスッと踏んだ時のレスポンスに優れ、クルマがグイと押し出されるように反応する。
それはGT220になればより顕著で、さらに高回転域での伸びが加わり、よりハイスピードで走った時のパンチが加わる印象。
アップダウンが激しいオートポリスのメインコースでの試乗でも、上り勾配のコーナー立ち上がりでもストレスなく、テンポよく加速してくれる。
特筆すべきはシャシー性能。基本的には軽快感を感じさせるハンドリングで、操舵に対して軽やかにクルマが反応する印象。
サーキットでの試乗だったので、遠慮なく攻め込む走りをさせてもらったのだが、コーナー進入時にかなり奥まで突っ込んでフルブレーキングをした状態からのターンインでも挙動を乱すことなく、スッと向きを変えてくれる。
いつもの記事での水野さん流の表現をすれば「コーナーの入り口で外側前輪に荷重が載っちゃって、つんのめる姿勢になることがなく、後輪内側もちゃんと足が伸びて接地しているから、タイヤの接地を活かすことができている」となろうか。
比較試乗した従来型では同じ場面で姿勢制御デバイスによる「抑え込み」が激しく作動していたし、BMW X1はややフロントを巻き込むような挙動を示した。
足のよさをさらに実感させられたのが、荒れた路面のショートコース「レイクサイド」での走り。とにかく足がよく動いて荒れた路面でも挙動を乱すことなくハイペースで走ることができるのだ。
コーナー入り口でのフルブレーキングで大きなギャップを踏む時など、一瞬『ヤバイ!!』と身構えたのだが、何ごともなくスムーズに通過。
なるほど、これがいつも水野さんが取材時に言っていることなのだな、と実感させられたのであった。
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