新型N-VANの実力と勝算 軽商用界に革命を起こせるか!?

室内空間のメリットは「一長一短」

N-VAN(左)とアクティバン(右)のリアシート。ともに後席まわりの空間は重視していないためミニマムだが、アクティと比べるとN-VANの膝元空間はよりタイトだ

居住性は、運転席については快適だ。シートのサイズに余裕があって肩まわりのサポート性が優れ、腰の支え方も満足できる。

それ以外の座席は座り心地が悪い。助手席は格納性を重視したから座面の奥行が少し短く、背もたれと座面の形状が平板だから体のサポート性も低下した。着座姿勢が落ち着かず、前後のスライド機能も付かない。

後席は足元空間が狭い。身長170cmの大人4名が乗車すると、後席に座る乗員の膝先が前席の背面に触れてしまう。アクティバンで同じ座り方をした時よりもさらに狭い。N-BOXなら後席の膝先空間が握りコブシ4つ分に達するから、外観は似ていても居住性は大幅に異なる。

そうなる理由として、商用車の構造要件も挙げられる。荷室の床面積が、運転席の後部にある乗車設備(前席の後端から荷室の後端まで)よりも広くなければいけない。

従って後席は足元空間が狭く、背もたれも垂直に近づくから、座り心地が窮屈になった。アクティバンも同じ構造用件に基づくが、荷室長が少し長いため、後席の足元空間が若干広がって背もたれも寝かされた。アクティバンの後席はN-VANよりも広い。

軽商用バンにはこのような欠点がある代わりに、軽自動車税は軽乗用車の年額1万800円に対して5000円と安い。エコカー減税の基準も異なり、N-VANには購入時の自動車取得税と同重量税が免税になるグレードもある。

その代わり購入後に受ける最初の車検も2年後で(軽乗用車なら最初は3年後)、メリットは一長一短だ。

動力性能は軽バンとして十分か

こちらはNAエンジン車の「+スタイルファン ホンダセンシング」。N-VANはノンターボ、ターボ車と2種類のエンジンを設定するが、それぞれの実力は?

エンジンはノーマルタイプとターボを用意した。N-BOXのノーマルエンジンには、VTECが装着されるがN-VANは省いた。

この影響が生じるのは、主に6000回転を超えた領域の回転上昇だから、実用域ではあまり差が生じない。3500回転前後を超えると、吹き上がりが少し活発になる。

市街地ではターボを装着しないNAエンジンでもさほど不満を感じないが、登坂路や高速道路に乗り入れると幅広い回転域でパワー不足が生じる。車両重量が900kgを超えるから仕方ない。

そこでNAエンジンには、CVT(無段変速AT)と併せて6速MTも採用された。このMTはS660用がベースで、6速とあってギヤ比がワイド。適切なギヤを選ぶと、エンジンの性能を有効活用できる。

軽商用バンでは珍しく、全車にタコメーター(エンジン回転計)が装着されるので、慣れない時でも6速MTを使いやすい。

ターボエンジンは、最高出力がNAの1.2倍、実用回転域の駆動力を左右する最大トルクは1.6倍に増えるため、加速力が大幅に高まる。

2500回転以下では駆動力が低下して、ゴロゴロとした振動を感じるが、軽自動車のギヤ比ならこの回転域は頻繁には使われない。常に過給が行われ、ノーマルタイプの1Lエンジンを搭載している感覚で運転できた。

安定性は軽商用バンでは優れた部類に入る。前輪駆動だから重心も低めで腰高感を抑えた。

N-BOXに比べると操舵に対する反応が鈍く、峠道では旋回軌跡を拡大させやすいが不都合はない。アクティバンに比べると操舵感が正確で、安定した印象を受けた。

乗り心地も同様だ。30~40km/hで路面の荒れた部分を走ると粗く感じるが、不快感はない。

次ページは : どんな人向け? N-VANはN-BOXとどう違うのか

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