4WDと2WD、単純な重量差だけではない違い
試乗は4WD車(20インチ)、と2WD車(18インチ)の2台、車両重量は85kg以上4WD車が重くなる。モーター出力は2WD車はフロントに150kW、4WD車は前後に80kWずつトータルでシステム出力は160kWとなる。加速タイムも社内テスト値で0-100km/hで8.4秒(2WD)と7.7秒(4WD)となっている。
今回試乗前にトヨタの開発から「あくまでもプロトタイプなのでNV性能に関してはまだ開発中であることは了承してほしい」という旨のコメントが出されたが、実際の剛性感などは十分な印象を受けた。
重箱の隅をつつくように全域で神経を研ぎ澄ませれば確かに微振動を感じる速度域はあるし、ステアリングの応答性、特に操舵量の変化や中立時の甘さなどはあるかもしれないが、この辺は個体差もある。逆にbZ4Xがそれだけ市販時のモデルに近い完成度を有していることの証明とも感じたのだ。
試乗した印象は20インチの4WD車の方が好みである。接地感の高さやロールの少なさなど共通の味付けは持っているが、重量配分なども考慮すると4WD車のほうが素直な印象を受けた。サーキットのコーナーで操舵遅れが発生しても4WDならば後輪への駆動力配分を行い、旋回力を増やすことでコーナーからの脱出も容易である。
2WD車に関しても車体中央に設置されたバッテリーなど重量配分は普通のガソリン車よりは優れているのだろうが、18インチタイヤの影響もあり、軽快さはあるが走りの質感という点では4WD車の方に軍配が上がる。
加減速に関してはEVらしい静かでスムーズな加速が可能なのは言うまでもないが、ポイントとしては搭載するワンペダルで加減速を可能にするスイッチを入れても従来までのEVにありがちな強い回生Gを感じない。つまり街中でもギクシャクした感じのないスムーズな走りを可能にしてくれるはずだ。
ドライビングモードはエコ/ノーマルの2つ、サーキットゆえにコーナーに入る手前でより強い回生力が欲しかったのも本音。共同開発のSUBARUソルテラにはパドルシフトが装着されているそうだが、bZ4Xにも搭載はぜひ検討してほしい。
進化したソーラー充電や販売方法にも注目
この他にも現行プリウスPHVに搭載されているソーラー充電システムをレベルアップして設定している点に注目している。もちろんこれで全てがまかなえるわけではないが、定格出力も235W(設計値)とプリウスPHVより遥かに高く、1年間で約1800kmの走行距離に相当する発電量、そしてデザインにマッチする設計などBEVだからこそ選びたい装備である。
また販売に関しては最終的ではないが、開発陣によればサブスクサービスとして徐々に認知させてきている「KINTO」やリース販売がメインとなるようだ。リースなどであれば、ユーザーの購入障壁はグッと下がるはず。昨今の半導体不足により、発売を開始してから実際の納期がどうなるか見えない部分も多いが、トヨタが今後展開する急速充電器の設置、つまりインフラ整備も注目すべき項目。いずれにせよ、bZ4Xの登場が起爆剤になることは間違いないだろう。
【画像ギャラリー】トヨタのBEV第1弾となるbZ4Xプロトタイプの詳細を画像で紹介(28枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方