トヨタとプレミアムSUVは相性がイイ!? 輸入プレミアムSUVが数多あるなか敢えてレクサスLXを選ぶ理由は何か?

トヨタとプレミアムSUVは相性がイイ!? 輸入プレミアムSUVが数多あるなか敢えてレクサスLXを選ぶ理由は何か?

 レクサスのフラッグシップSUVのLX600の価格は1000万円超。国産SUVにライバルはいない。自動車評論家 鈴木ケンイチがオン/オフでの試乗を通して輸入プレミアムSUVとの力関係を明らかにしていく!

※本稿は2022年4月のものです
文/鈴木ケンイチ、写真/ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』2022年5月10日号

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■機能性を最優先 対シビアコンディションにみるLXの覚悟

レクサスLX。旧型が5.7L、V8だったのに対し新型は3.5L、V6ツインターボを搭載。ハンドリング、加速、直進性、乗り心地のすべてでハイレベル
レクサスLX。旧型が5.7L、V8だったのに対し新型は3.5L、V6ツインターボを搭載。ハンドリング、加速、直進性、乗り心地のすべてでハイレベル

 レクサスLXと数多ある欧米のプレミアムSUVとの最大の違いは、シビアコンディションへの覚悟だろう。

 大きく、豪華で、最新装備を満載するのは、LXに限らず、どのプレミアムSUVも同じ。しかし、灼熱の砂漠や泥道の密林など、クルマの故障が命と直結する状況への備えが違うのだ。

 LXは中央にある8インチの液晶を囲むようアナログメーターが並び、電圧計まであるから驚く!

 一方、メルセデスベンツGクラスも、ランドローバーディフェンダーもジープチェロキーLもすべてがフルディスプレイ。言ってみれば、LXのメーターは古臭いのだ。

 しかし、フルディスプレイは格好いいが、故障したら燃料もバッテリーの余裕も不明でシビアコンディションでは致命的。

 アナログメーターが別にあれば、生きて帰れる可能性は上がる。見栄えよりも実利。これがLXの覚悟だ。

 またLXの4座のエグゼクティブのオットマン付き後席も、道なき道をゆくのが前提だ。オットマンに載せた足先は前席に接地させ、動かないように左右が高くなっている。

4人乗りのエグゼクティブの室内はゴージャス。高級輸入車SUVでもここまでの快適性を実現しているモデルは皆無。ハードに走っても体がブレず
4人乗りのエグゼクティブの室内はゴージャス。高級輸入車SUVでもここまでの快適性を実現しているモデルは皆無。ハードに走っても体がブレず

 そしてNASAが宇宙空間で最もリラックスできるという、中立姿勢を参考にした、最大48度の後席リクライニングも絶妙だ。

 足を踏ん張れば、どんな急坂であっても、シートからズレ落ちることはない。

 リクライニング中に車両前方の見通しをよくするために後席用モニターを倒すことが可能。この細やかな気遣いも欧米プレミアムにないLXの魅力。

 さらにインテリアの素材感のよさ、美しく整ったパネルの合わせなど、質感の高さは、さすがプレミアムだ。

 LXの走りでポイントとなるのがラダーフレームだ。

 ラダーフレームはクルマの耐久性や悪路走破性でポジティブだが、ワインディングや高速走行にはネガティブになる。

 ところがLXは、優れた悪路走行と、ワインディングでのすっきりとした反応、高速での矢のような直進性、フラットで快適な乗り心地のすべてが高い次元にあるのだ。これには驚いた。

 それを実現させたのが、電動パワステ、車高とバネレートを可変させるAHC(アクティブ・ハイトコントロール・サスペンション)、減衰力を変化させるAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム)だ。

 ちなみに、油圧で作動するAHCは金属スプリングの併用も万一の故障に備える配慮だ。

 また、最高出力415psの3.5L、V6ツインターボと10速ATを組み合わせるLXのパワートレインは、スムーズかつ伸びやかに加速。

 ゆったり走らせればジェントルだが、アクセルに力を込めれば、キレのよい加速を見せる。約2.6tの重さを忘れる速さを感じることができる。

ゴージャスな見た目と裏腹にラダーフレーム+電子デバイスにより、岩場、ヘビーなオフロード走行も楽々こなす
ゴージャスな見た目と裏腹にラダーフレーム+電子デバイスにより、岩場、ヘビーなオフロード走行も楽々こなす

 一方、ライバルはどうか。

 同じラダーフレームのGクラスはオーソドックスだ。大きな船のように、振る舞いはゆったりとしている。

 モノコックボディを持つディフェンダーとグランドチェロキーLは乗用車テイストで、LXに近い。逆にラダーフレームでありながらモノコック同等の乗り味のLXを褒めるべきだろう。

 メーター類の見栄えでは、ややライバルに劣るLXだが、内装の質感やオンロードとオフロードの走りはライバルと同等か、それ以上。

 さらに垣間見える細やかな配慮も確実に欧米のライバルよりも上だ。そして、信頼性と耐久性では、確実にLXはライバルに勝る。

 そもそもトヨタが世界ナンバー1になった原動力は、壊れない信頼性と耐久性だ。トヨタの上位版であるレクサスは、当然、その部分はトヨタ以上。ましてやLXはレクサスSUVのフラッグシップだ。

 世界最強の信頼性と耐久性という土台の上、類いまれなオフロード走行性能、豪華で気配りの行き届いたインテリア、乗用車と遜色ない快適なオンロードの走りを積み重ねる。

 人気が出すぎて、納車が最長4年なのも致し方ないだろう(※編集部註:LXは2022年7月1日付けで注文を停止中)。

■レクサスLX600主要諸元
・全長×全幅×全高:5100×1990×1895mm
・ホイールベース:2850mm
・車重:2600kg
・最低地上高:210mm
・最小回転半径:6.0m
・エンジン:3.5L、V6ツインターボ
・最高出力:415ps/5200rpm
・最大トルク:66.3kgm/2000~3600rpm
・WLTCモード燃費:8.0km/L
・価格:
– LX600(5人乗り/7人乗り):1250万円
– LX600 OFFROAD(5人乗り/7人乗り):1290万円
– LX600 EXECUTIVE(4人乗り):1800万円

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