ライバルと比較してNISMO Sの実力は?
ライバルと目されるコンパクトスポーツ5車は、すべて「エンジンで走る」という点でノートe-POWER NISMO Sとは別世界の乗り物。「走りが楽しいのはやっぱエンジン車でしょ」と考えるか、あるいは「電動パワーこそ新時代の動力源」と変化を受け入れるか。考え方次第で評価は変わってくると思う。
例えば、オーソドックスに「エンジンで走るホットハッチこそ楽しい」と考えるなら、スイフトスポーツが定番中の定番。
スイスポをワインディングをカッ飛ばしている時のパワフル感は、体感的にはノートe-POWER NISMO S以上。6MTを駆使して1.4Lターボのパワーを引き出す面白さは、古典的だけれども走り好きにとっては抗し難い魅力がある。
しかし、ターボのブーストゾーンをキープしつつ、シフトアップ&ダウンを繰り返す走りは、それを楽しいと思うか、面倒くさいと思うかで評価が分かれる。
おそらく、サーキットで競争すれば馬力が大きいぶんスイスポのほうが速いだろうし、そういうシチュエーションではマニュアルシフトも楽しみのひとつだが、一般的にはそういうタイプのドライバーは少数派。
普段の走りではノートe-POWER NISMO Sのほうがパワフルに感じるし、走って楽しいと思うユーザーも少なくないと思う。
デミオ&マーチNISMOと比べてどうか?
デミオ 15MBやマーチ NISMO SのようなMT専用車は、ノートe-POWER NISMO Sとは対極にあるタイプで、よりマニア度が高まっているぶん、それを受け入れるユーザー層はますますかぎられてくる。
この2車はNAエンジンだから、思いどおりに走るためにはより高回転域をキープしてアグレッシヴに攻める必要がある。
ただ、この2車の購入を検討しているようなユーザーは、おそらくノートe-POWER NISMO Sは眼中にない。
トンがっているだけに、数は少なくても熱心なファンに支持されるタイプのクルマ。そういう意味での存在意義は確かにあるのだが、楽しめる状況もエンジョイできるドライバーもすごく幅の狭いニッチ商品と言わざるを得ない。
では、ニッチだからダメでメジャーを目指すべきなのかというと、そんな単純なものでもない。
メーカー側もこのクラスの量産スポーツバージョンは、なるべく数を売りたいのが本音だから、ほどほどの価格でATモデルも用意して幅広いユーザーに訴求しようと工夫するのだが、そういう努力をすればするほど“スポーツモデルらしさ”が失われてゆく。
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