スーパーカーは好きですか? 当編集部は大好きです!! 百年に一度の変革期にあって「社会におけるクルマの位置づけ」が変わりつつあるなか、「趣味としてのクルマ」はそうした世間の風潮とは隔絶した世界観のなかで、それでも進化を続けています。21世紀のスーパーカーはどんなふうに進化しているのか?? じっくりしっかり動画付でお届けします!!
●やっぱり「スーパーカー」が好き!! 自動車生活探検家・石川真禧照のスーパーカーワールド一覧
文/石川真禧照、写真/萩原文博、動画/吉田海夕、コペル
■「まるで幽霊のように音もなく現れる」ので「ゴースト」
ロールスロイスは1906年に英国で創業、その精巧なクルマづくりでたちまち貴族や富豪たちからの支持を得た。「ゴースト」という車名は当時ロールスロイスが市販したシルバーゴースト(銀色の幽霊)から受け継いだ車名。「まるで幽霊のように音もなく現れる」ということから命名された。
ロールスロイスはその後、経営危機に見舞われ、経営母体が変わった。最終的に2003年からロールスロイスはBMWの傘下に入り、クルマを製造、販売するようになった。
このときに生産を開始したのがフォーマルカーの「ファントム」。そして2009年にファントムよりもパーソナルカー的要素の強い4ドアセダンを開発、それを「ゴースト」と名付けたのだ。
初代ゴーストは2009年から2020年まで11年間生産された。途中、2014年にマイナーチェンジが行なわれている。この間、多くの新しいユーザーをつかみ、販売は好調だった。ロールスロイス創業から116年の中で、もっとも売れたロールスロイス車になった。
初めてのグッドウッド(ロールスロイス本社がある地名)製ゴーストはこれまでにはなかったやや小ぶりで静粛性と快適性に優れた新しいタイプのスーパーラグジュアリーサルーンを求めていた人たちに受け容れられたのだ。
2代目を開発するにあたり、ロールスロイスは独自のアルミニウム製スペースフレームアーキテクチャーを採用した。設計は、これまでのゴーストと同じ部品はボンネット上のマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーの像と、ドアに内蔵されている傘だけしかない、と言えるまで新しくなった。
ボディは初代よりも90mm長く、全幅は50mm広くなった。アルミ素材を多用している。組み立てもAピラーからルーフをこえてリアエンドに向かう曲面は、4人の職人がボディを同時に手作業で溶接して、連続した継ぎ目をつくり出している。
パワーユニットは、V型12気筒、6.75Lツインターボのガソリンエンジン。最高出力571ps、最大トルク850Nmを発生する。とくに最大トルクは1600回転から得られるという。
組み合わされるミッションは8速AT。シフトはハンドルコラムに生えた細い棒状のレバーをつまんで行なう。
駆動方式は後輪駆動。リアサスペンションには4輪操舵システムも組みこまれている。リアサスはマルチリンク方式を採用した。フロントはダブルウィッシュボーン式。このサスはロールスロイスの技術陣が10年間に及ぶ開発とテストによって生まれた。乗り心地と安定性を高次元で融合させたサスになった。組み合わされる8速ATもGPSデータを利用することで、これから向かう先のカーブに合わせて事前に最適なギアを選択するという技術を実用化している。
ドアの開閉も新機構になった。これまでもドアを閉めるときはCピラーに内蔵されているボタンを押すと自動で閉じた。新型ではさらにドアを開けるときもパワーアシストによる自動操作が可能になったのだ。作動は前後と横方向のセンサーと重力加速度センサーにより、坂道や傾斜のある場所に停車しても、常に同じ速さでドアは開閉する。
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