航続距離アップの新型リーフ e+は“使える車”になったのか? 退屈なEVは古い!?

走行安定性は「不満」も乗り心地は「快適」

試乗車は最上級グレードのリーフ「e+ G」。タイヤサイズは215/50 R17となるが、もうひとつの「e+ X」は205/55 R16と1インチ小さなタイヤが標準となる

ラインナップで不可解なのは、専用のサスペンションや18インチタイヤを装着したリーフ 「NISMO」が、現時点では62kWhの「e+」に対応していないことだ。この性能に相応しいのは、どう考えても足まわりとタイヤを強化したNISMOだから、「e+」の設定と同時に用意すべきだった。

「e+ NISMO」は今後設定されるが、タイミングが遅い。今の日産は、国内で発売される新型車を1~2年に1車種と極端に減らしているから、限られたニューモデルはもっと周到に発売して欲しい。

それから「e+ X」のタイヤは、16インチ(205/55 R16)になる。グリップ力と動力性能のバランスを考えると、「e+ G」と同じ17インチにすべきだ。

走行安定性は不満だが、乗り心地は快適だ。40km/hを下まわる速度域では少しコツコツと硬めに感じたが、この領域を上まわると、路上の細かなデコボコを伝えにくい。乗り心地に関しては、車両重量の増加が良い方向に作用した。

エンジン車の燃費に相当する交流電力量消費率は、WLTCモードで40kWh仕様が155wh/km、62kWh仕様は161wh/kmだから、1km当たりの消費量は少し増えた。それでも62kWhは、前述のように駆動用電池の拡大で、1回の充電により約1.4倍の距離を走れるメリットがある。

日産によれば、WLTCモードで458kmなら、1日当たりの走行距離は十分にカバーできるという。とはいえ、ガソリンエンジン車の実用燃費が15km/Lで、35Lの燃料があれば525kmを走行できる。458kmでは長距離を走れるとはいえないが、実用面の不都合は生じないとしている。

62kWhでは、急速充電器の使い勝手も向上する。40kWhと同じ時間充電すると、62kWhなら1.4倍の電気を蓄えられる。高出力タイプの急速充電器も利用可能だ。

EV特有のネックは減った? リーフe+の「買い得度」

左は「e+」のロゴが配される急速充電ポートで右が普通充電用ポート。標準装備の6kWh普通充電器を用いた充電時間は約12.5時間

最近の日産ディーラーは急速充電器の設置を進め、全国に1890基を設けた(日産の国内店舗数は約2100箇所)。これを受けて「自宅に充電設備を持てないマンション住まいのユーザーでも、リーフを所有できる」と宣伝している。

ただし、そうなるとディーラーの急速充電器を頻繁に使う。先代リーフの時は、開発者が「急速充電器の連続使用は好ましくない」とコメントしていた。

そこで62kWhの現状を改めて開発者に尋ねると「理想的には普通充電も併用した方が好ましい。ただし急速充電だけを行っても、耐久性に不都合が生じない信頼性を得ている。そして62kWhは、40kWhに比べて、急速充電による劣化がさらに少ない」という。

試乗した「e+ G」の価格は、本革シートも標準装着するから472万9320円と高い。「e+ X」は416万2320円で、40kWhの「X」を50万1120円上まわる。ただし、オプションとなる6kWhの普通充電器を標準装着したから(Xに装着されるのは3kWh)、実質価格差は約39万円に縮まる。

補助金額は2018年度の実績で40万円だ。電気自動車ではこの金額が上限で、40/62kWhともに同額になる。

以上のように62kWhの「e+」は航続可能距離が長く、動力性能も高まり、急速充電器の使用による劣化も抑えられるなど、複数のメリットを備える。この対価が約39万円だ。パワフルで乗り心地も快適、航続可能距離も伸びるから、高速道路を使った移動を頻繁に行う用途にも適する。

そして、今後「e+ NISMO」が設定されると、パワフルでスポーティな走りも楽しめるようになる。リーフを何台も乗り継ぐファンにとっては、待ち遠しいモデルだろう。

外観上の差別化は「e+」専用のバンパーのみ

インパネも従来型リーフと同意匠

シリーズ唯一、本革シートが標準となる「e+ G」のリアシート

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