ゴルフVIIに待望のスポーツモデル、GTIが加わった。ベースとなる7代目ゴルフの評価が高いだけにいやがうえにも期待が高まる。その実力を試す舞台に選ばれたのは、富士スピードウェイのショートコースとスラロームコースだった……!(本稿は「ベストカー」2013年10月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部/写真:藤井元輔
■220ps/35.7kgmの2Lターボ! ゴルフGTIを富士スピードウェイで試す!
会場に着いて、7代目ゴルフGTIを目の前にして改めて感じたのはそのアグレッシブさ。
伝統のハニカムグリルからヘッドライトまで一直線に引かれたレッドライン、そしてフロントバンパー左右は3本のスリット、フロントフェンダーのGTIの赤いロゴ入りプレートなどVWのGTIに対する本気度がうかがえるのだ。
さて、注目のエンジン。
先代から踏襲するEA888型の2L直4ターボながら、新設計のシリンダーヘッドや直噴とマルチポイント噴射を併用するデュアルインジェクションシステムを採用することで、先代に比べ9ps/7.1kgmアップの220ps/35.7kgmを発生。
0→100km/h加速は先代よりも0.4秒速い6.5秒。それでいながら10.15モード=13.0km/LからJC08モード15.9km/Lと燃費が向上している。トランスミッションは6速DSGを組み合わせている。
エンジンスタートスイッチを押しコースイン。
6速DSGをDレンジのまま、アクセルを踏んでいくと変速ショックもなくポンポンと気持ちよくシフトアップしていく。Sモードに切り替えてパドルシフトで走ってみると6000rpm近くまで回りシフトダウン時にはバフォバフォというブリッピングを演出。
目からウロコだったのは左コーナーに進入し、アクセルを吹かしながら再び右コーナーに進入する複合コーナーでの動き。
ステアリングを切りこんでいくと思った以上に軽く正確にラインをトレースしていき、ブレーキを踏まずに右コーナーに進入しても、外にクルマが膨らんでいく(アンダーステア)こともなく、コーナーをクリア。
車体の動きの軽さに加え、FFとは思えないほど、グイグイとコーナー内側に切れ込んでいくのだ。
これはXDS+という電子制御式ディファレンシャルロックが内側前輪の荷重が不足したと判断して、瞬間的にブレーキをかけて空転を抑え、アンダーステアを軽減しているのだが、体感はゼロ。
軽く曲がっていく回頭性は、ロックトゥロック2.1(標準ゴルフは2.75)という、可変レシオのプログレッシブステアリングによるもの。
大きな舵角を当てないと曲がらないS字のコーナーワークやスラロームでも舵角量が少なくすむのだ。
■街中と高速道路での走りはどうか
試乗車はオプションの18インチタイヤ(225/40R18サイズのポテンザS001)と可変ダンパーのDCC(アダプティブシャシーコントロール)付き。
標準仕様でもエンジンやトランスミッション、パワステなどの設定を統合制御するドライビングプロファイル機能は、4つのモードが選べるが、DCC付きはこれに「コンフォート」モードが加えられ、「コンフォート」/「ノーマル」/「スポーツ」/「エコ」/各部を任意に設定できる「個別」の5つ。
街中、高速道路を走り、乗り心地を試したが、コンフォートモードが「快適」、ノーマルが「普通」、スポーツモードは「少し硬め」という印象。
ちなみにスポーツモードは、エンジンフィールやDSGのシフトチェンジが俊敏に。
エコモードは制御系が燃費効率重視になりコースティングモード(アクセルオフ時にクラッチを切り離し燃料カットし燃費を稼ぐ)にもなる。
最後に、ゴルフGTIをまとめると、サーキットではバカッ速なFFスポーツ、高速&市街地では高級車並みの乗り心地、そして家族も喜ぶ実用性と使い勝手。しかもこれが369万円で買える!
どこかで聞いたフレーズかもしれないが“マルチパーパスなFF2BOXのスーパーカー”と言ってもいいかも。
強いて欠点を挙げるとすればドラマティックさ。本国で用意されている10psアップ&電子制御フロントディファレンシャルロック付きのGTIパフォーマンスが日本未導入なこと。
これならクルマ好きの心をもっとくすぐるのに……。
※ASR(トラクションコントロール機能)オフスイッチやESCスポーツモードを押すことにより、電性装置は緩やかに作動。またプリクラッシュブレーキやシティエマージェンシーブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、マルチコリジョンブレーキなど安全装備も満載
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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