2023年4月、新型クラウンスポーツのプロトタイプカー極秘取材会が富士スピードウェイのショートサーキットにて開催された。試乗車はPHEVで、なんと開発途中のプロトタイプカーそのもの。2023年秋冬の登場に向けて期待高まるクラウンスポーツの走りをチェック!!
※本稿は2023年5月のものです
文/吉川賢一、写真/ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』2023年6月26日号
■実に軽快なハンドリング
まず目にしたのは目の覚めるようなメタリックレッドのボディカラーの、クラウンスポーツプロトタイプカー。ハンマーヘッドデザインのフロントに仕込まれた上下2本のLEDライトは、先に登場したクロスオーバーよりも眼光鋭く、サイドビューは後輪を80mm前進させたことで、力強い印象の塊感がある。
最大の魅力がテールランプを中心としたリアデザインだ。実物は写真よりはるかにカッコいい!!
クロスオーバーより40mm拡げられた全幅、グラマラスかつマッシブに膨らんだリアフェンダー、235/45R21の大径タイヤなどにより、筋肉質なリアデザインとなっている。その姿はマカンやメルセデスGLCクーペ、BMWX4クーペといった欧州ハイパーSUVのようだ。
試乗車は先ほど目にしたメタリックレッドの個体とは正反対となる、艶消しブラックのモデル。渋くてカッコよかったのだが、残念ながらこのカラー、現時点では商品化する計画はないそうだ。
なんとも惜しいが、とにかく試乗だ。SUVにしてはやや低めのアイポイントの運転席に座り、走りはじめてすぐに感じたのは、回頭性のよさとコーナーでの安定性の高さだ。
クロスオーバーの走りとは根本的に異なり、動き出しの遅れが小さくなっている印象。微舵でも大操舵でも、切ったぶんだけフロントがくるっと回り込み、リアもそれにすぐさま追従するので、クルマがグイグイ曲がっていく感覚がある。実に軽快でクイックなハンドリングだ。
体感だとクロスオーバーよりハンドル操舵角は2割近く少なくて済むのではないだろうか。古来の体育会系的スポーツカーというより、涼しい顔して何事もスタイリッシュにこなす文化系のスポーツテイストとでもいうべきか。
クロスオーバー同様、可変ダンパーのAVSもついていたが、ロールやピッチ姿勢を安定させたうえで、21インチタイヤからの突き上げを感じさせない乗り味は、素晴らしいレベル。近年のトヨタ車は、大径タイヤ&ホイールを履きこなすための技術が、大幅に進化しているように感じる。
ただ、今回の試乗はハイブリッドモードのみに限定されての試乗。走行モードはノーマルとスポーツが試せたが、開発陣が「最もエモーショナルで自信がある」とするのは、「EVモード+スポーツ」とのこと。残念ながら今回は試せなかったが、新型クラウンスポーツの実力、まだまだこんなものではないようだ。
コメント
コメントの使い方クラウンに乗ってコーナリングを攻めるなんて、十年前は想像すらしてなかったのでは。
時代は変わりましたね。