【日産GT-R超辛口新車試乗】もうやり切ったか!?? 世界最高を目指すGT-Rの旅路の行方

4/2020年モデルはやり切ったのか?

元開発技術者の目線から、GT-Rはやり切ったのか、重箱の隅を突く要領で辛口評価
元開発技術者の目線から、GT-Rはやり切ったのか、重箱の隅を突く要領で辛口評価

 さてデビューから12年も経ち、熟成が重ねられてきたわけですが、GT-R2020年モデルはやり切ったのでしょうか? 

 筆者はNOだと考えます。それは、前述したとおり、操作性や乗り心地など「快適」な方向に進化しているとはいえ、まだ「音振性能」はもっと改善できる、と考えられるためです。

 きっと今後も、細かく検討を重ねねがら改善を続けるのでしょうが、現状のGT-Rコンセプトを貫きつつ、快適性を飛躍的に上げていくことは、もはや物理的に不可能にも感じます。

 なぜなら、パフォーマンスは最高だけどNVHの厳しいエンジン、改良したとはいえ操縦性を最優先としたタイヤ性能、絶えず作動音が発生するトランスアクスル、高剛性過ぎるサスペンションのブッシュ類など、「音振性能」を改善するためにブラッシュアップしなければならないコンポーネントが多すぎます。

 それに、このクルマを作っている日産としては、これ以上、走りの性能を削ってまで快適性を上げる気は、毛頭ないでしょう。あったとしても「GT-Rのコンセプトを捻じ曲げる」発言はできないのかもしれませんが。

 そんな悩めるGT-Rに対して、元開発技術者だった筆者からの提案は、

「目標性能を見直せ!」です。「ポルシェ911」をベンチマークとするのをやめて、1000万円以下の価格帯のスポーティカーに変更し、目標値を見直す。

 そして、ハンドリングと乗り心地だけでなく、音振性能が良くて「動的質感の高いGT-R」を目指すのはどうでしょうか。

 R34スカイラインGT-Rをオマージュした「ワンガンブルー」を出すなど、R35 GT-Rの現状は、「古き良き時代へのコンプレックス」があるように見えます。

 NISMOとレギュラーモデルで開発方針を分けることに成功したのですから、それならば、手の届く価格からとびぬけてしまった「GT-R」を、頑張れば買うことができそうな「スカイラインGT-R」にして、カムバックしていただきたい。それこそが、皆が待つ「GT-R」の姿なのではないでしょうか。

まとめ

 「GT-Rにワンガンブルーを採用」、「スカイラインを日産バッヂに戻して丸目4灯化」、「400Rの再ネーミング」など、昨今の日産は回顧主義のように見えます。

 しかし、「頼れる資産」があるのなら頼ったらいい、と筆者は考えます。なぜならファンは、過去からつながっている将来のGT-Rのストーリーを楽しみにしているからです。

 GT-R開発は日産の開発エンジニア達の夢です。今が正念場のニッサン、どんなストーリーで登場してくるのか、次世代の「GT-R」が待ち遠しいです。

<元開発技術者目線から見た辛口採点チェック!!>

■コーナリング性能/10点
旋回中の切り増し、旋回中のブレーキング、加速、車両挙動は乱れずに至極安定している
■高速直進安定性/9点
基本的には良いのだが、路面の轍を拾いワンダリングを若干感じる
■乗り心地/7点(Normal)

Comfortモードは8点、Rモードは6点。フラットな乗り心地だが、突起段差ではショックを感じる
■ロードノイズ/5点

一般道(60km/h)、高速(100km/h)を問わず、常に「コー」という高い音が前後から聞こえる
■エンジンフィール/9点

ややガサツな回転フィール、シルキーな回転ではない。排気サウンドは男らしい
■加速フィール/9点
(ミッションがRモードだと10点)
3000rpmあたりを超えた先での暴力的な加速には爽快感を超えて恐怖すら感じる
■走りの質感/7点

音振が弱い。ロードノイズ、その他機械音、微振動など、長時間乗ると疲れる
■居住性/8点

狭いが4人乗りできるレイアウトは加点できる
■インテリアの質感/8点

素材はブラッシュアップしたがメーター、ディスプレイ、インパネなどの造形が7~8年前のデザイン水準
■コストパフォーマンス/9点

性能を存分に発揮できるドライビングスキルと環境があれば10点

■合計点/81点

※個別項目は10点満点、総合点は各項目を集計したものです(100点満点)

ニッサンGT-R 主要諸元
■全長×全幅×全高:4710×1895×1370mm
■ホイールベース:2780mm
■車両重量:1760kg
■駆動方式:4輪駆動
■エンジン:VR38DETT型V6ツインターボ
■排気量:3799cc
■最高出力:570ps/6800rpm
■最大トルク:65.0kgm/3300~5800rpm
■トランスミッション:6速DCT
■サスペンション前後:前/独立懸架ダブルウィッシュボーン式
           後/独立懸架マルチリンク式
■タイヤ前後:前/ 255/40ZR20(101Y)
       後/ 285/35RF20(104Y)
■WLTCモード燃費:7.8km/L
■価格:GT-R Premium edition  1210万5720円

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!