■なぜ?? 公道での走りは期待値に届かず
エンジンは1.8Lディーゼルで116ps/27.5kgm、ミッションも従来どおりの6AT。デミオ→CX-3とマツダディーゼルを乗り継いできたぼくにとっては、いつもの感覚。率直に言って「何も変わっていない」のだ。
このエンジン/ミッションの組み合わせ、実用性は優秀だが「ここ一発」のレスポンスや高速道路で追い越しをかける際の力強さなど、プラスアルファの“華”はない。
デザインを見れば一目瞭然、マツダ3はプレミアムゾーンで勝負するクルマなのだから、パワートレーンに突き抜けた魅力がないのは画竜点睛を欠く。
最低でも旧アクセラの2.2Lディーゼル(175ps/42.8kgm)に匹敵するパフォーマンスが必要だと思う。
シャシー性能に関しても、「公道で乗るまでは……」と結論を保留してきたぼくの期待には届いていなかった。
シャシー技術者は「骨盤を立てて正しく座ることで、歩くような自然な感覚で走れる」と主張しているが、公道をさまざまなシチュエーションで試乗したぼくの感想は「それ以前の問題では?」というもの。
市街地のアンジュレーションや、高速道路のジョイントなど、ごくごくありふれたシチュエーションでチープなぶるぶる感が顔を出すし、マツダがかつてはこだわっていた操舵フィールにしても、どこにでもある平均値。
デザインからは「イイもの感」のオーラがびしびし伝わってくるが、パワートレーンやシャシーにはそれが全然ないのだ。
これは邪推かもしれないが、コスト配分がデザイン領域に偏った結果、走行コンポーネンツがシワ寄せを食らっているのではなかろうか?
シャシー技術者なら欧州プレミアムが電動パワステにどれほどコストをかけているか熟知しているはずで、このステアフィールで妥協した理由はおそらくコストの問題。
また、マツダ3のリアサスはトーションビームに変更されたが、これも「コストダウンではない」と主張するなら、乗り心地のクォリティに納得できる成果を出してほしかった。
デザインの魅力を評価するなら、マツダ3は「買い」と多くの人にオススメできる。しかし、ぼく個人としては中身にこだわりたいから、マイカーCX-3の後継車としてマツダ3は「ナシ」。
それが公道試乗の結論でございます。
■MAZDA3 FASTBACK XD Burgundy Selection(2WD)主要諸元
・全長×全幅×全高:4460×1795×1440mm
・ホイールベース:2725mm
・車両重量:1410kg
・エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
・総排気量:1756cc
・最高出力:116ps/4000rpm
・最大トルク:27.5kgm/1600-2600rpm
・トランスミッション:6速AT
・WLTCモード燃費(総合):19.8km/L
・使用燃料/タンク容量:軽油/51L
・サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:215/45R18
・価格:298万9200円
※エコカー減税100%
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