タイで行われたAXCR2025、さらに日本で開催されたラリー・カムイやラリー北海道。ここで鍛えられたのが三菱「トライトン」である。投入されたパーツのなかには、市販車をさらに進化させる可能性を秘めたものが数多くあった。未来のトライトンがどう変わるのか、その期待に迫っていく!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、三菱自動車
ラリーはまさに“走る実験室”!
三菱トライトンは、国内はもちろん、新興国でも活躍するピックアップトラックだ。その使われ方は多岐にわたり、信頼性や操縦安定性は欠かせない。そこでトライトンを鍛えるために三菱が選んだのが、ラリーという極限の舞台である。
三菱といえば、往年の「ギャラン」や「ランサー」「スタリオン」、そして「ランサーエボリューション」でWRC(世界ラリー選手権)に参戦していた歴史がある。
さらに、現・チーム三菱ラリーアート総監督の増岡浩氏が挑んだパリ・ダカール・ラリーでも数々の輝かしい成績を残してきた。そんなブランドが再びラリーに挑むとなれば、心躍らずにはいられない。
AXCRでは8日間・2500km超の苛烈なコースを駆け抜け、XCRでは市販車に近い状態で激戦を戦う。こうした実戦を通じて、“走る・曲がる・止まる”といったクルマの基本性能を徹底的に鍛え、どんな環境でも安心・安全に目的地へ到達できる信頼性を磨き上げる「走る実験室」としてラリーを活用しているのだ。
パドルシフトとATの制御変更で操作性が劇的進化!
2025年のAXCRで投入が検討され、先行してラリー・カムイとラリー北海道で導入されたのが、ATのシフトスケジュールの制御変更である。
竹岡圭選手によれば、今回の制御変更によって、つねにトルクバンドを外さずに走れるようになり、両手をステアリングから離さずに走行することができ、走行に集中できるようになったという。
このATの制御変更の投入と同時に、パドルシフトも装着された。純正採用については未定とのことだが、期待したいアイテムだ。
ヤマハ製「パフォーマンスダンパー®」で安定性アップ!
ラリー北海道では、竹岡圭選手と川畑真人選手のマシンにヤマハ製「パフォーマンスダンパー®」が搭載された。これはフレームからボディへ伝わる微細な振動や揺れを抑えることで、ハンドリングや安定性、そして乗り心地を改善することを狙ったパーツである。
竹岡選手はレース後、「とにかく荒れた道が多かったが、姿勢のコントロールがしやすく、積極的にクルマの向きを変えてアクセルを踏んでいけました」とコメント。
つまり、ラリーのように荒れた路面でもクルマが暴れにくく、ドライバーの意思に素直に反応してくれるのだ。これは長時間の運転でも疲労軽減につながる要素であり、まさにラリーという“実験室”でその効果が証明されたと言える。
さらにチームと三菱開発陣のタッグで、このダンパーが最大限に効果を発揮するように、専用ブラケットをフレームへ溶接して取り付け位置を最適化している。こうしたノウハウが市販車に反映されることで、トライトンの日常ユースにおいても安定感と快適性が大きく向上する可能性は高い。ラリーという過酷な環境下での使用でも不具合が出なかったとのことなので、近い将来、標準採用されることを期待したい。
※「パフォーマンス ダンパー」はヤマハ発動機(株)の登録商標です




























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