今年で登場10周年を迎えたホンダアクセスの純正コンプリートカー「Modulo X」。ホンダ車の魅力を1ランクも2ランクも引き上げるこの傑作ブランドが一貫して追求してきたのが、日常の速度域でも体感できる空力効果、すなわち「実効空力」だ。今回はこの実効空力エアロパーツの真価を探るため、Modulo Xでロングドライブに出かけてみた。理論派ジャーナリストも驚いたその効果とは?
文/鈴木直也、写真/森山良雄、ベストカーWeb編集部
■ブレがないホンダアクセスの開発ポリシー
1994年、ホンダ純正アルミホイールのブランド名として生まれたのが“Modulo”の出発点だった。
やがてModuloは、エアロパーツ、マフラー、サスペンションといった機能部品へと領域を広げ、2013年にはそれらを集大成したコンプリートカー、“Modulo X”に結実する。
2013年、初代N-BOXからスタートしたModulo Xは、フィット、フリード、ステップワゴンといった販売台数の多い車種を中心にラインナップされ、クルマにこだわるユーザーのみならず、これまでエアロパーツや足回りのモデファイなどに縁遠かったライトユーザー層にも受け入れられた。クルマをカスタマイズする楽しさを、たくさんのホンダ車ファンに届ける役割を果たしてきた。
今ぼくらがホンダ車を選ぶとき、ModuloのパーツやModulo Xを当たり前のように選択肢と考えるが、それはModuloがクルマをカスタマイズする楽しさを追求してきた結果を示している。
そのいっぽうで、もうひとつModuloが大事に守ってきたのが、パーツの機能性に関しては徹底的にこだわるという開発姿勢だ。
「エアロパーツは、空力性能よりファッション重視でいい」「乗り心地と操安のバランスを追求するより、チョイ乗りで『いじってる感』がすぐわかるサスの方がウケる…」
ある意味それも事実かもしれないが、ホンダ車の進化と歩調を合わせ二人三脚で開発を継続してきたというホンダアクセスの矜持は安直な製品開発を許さなかった。
ライトユーザーにも優しいが、その本質としては機能本位のブランド。ファンはもちろん業界関係者にもそう認識されているのは、Moduloの開発ポリシーにブレがなかったからこそだと思う。
■法定速度で走るクルマに空力は効かない?
そのいい例が“実効空力”というコンセプトだ。
字義どおり素直に読めば「実際に効果のある空力パーツ」ということになるが、その本質は「普通のクルマが法定速度内で走っていても効果がある」というコンセプト。じつは、「法定速度内で走っていても」というところに大きな意味がある。
よく知られているように、空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなる。50km/hから100km/hへと加速して速度が2倍になると空気抵抗は4倍。150km/hなら9倍になる計算だ。
空力パーツに着目してもこれは同様。抵抗を減らすにしても、ダウンフォースを増やすにしても、速度が上がれば上がるほど(速度の2乗に比例して)その効果が大きくなる。
だから、レーシングカーや高性能スポーツカーでは空力デザインが重要となるわけだが、逆に言えば一般道を50km/h程度で走る乗用車の場合、空力性能の影響はかなり限定されるということでもある。
それゆえに、エアロパーツの空力性能はサーキットなどを走ればそれなりの効果を認識できるものの、一般公道ではほとんど空力効果は体感できない、そう認識されていた……。
この常識に挑戦したのが、Moduloの“実効空力”コンセプトだ。




コメント
コメントの使い方フィットModuloXのフロントタイヤ付近のエアロフィンを真似て、シャトルに取り付けて新東名120Km/h区間を110Km/h〜120Km/hでを走ってみたところ、たしかに安定性が上がった。
効果はあると思うし試してみる価値はある。