屋根のギザギザで走りが変わった! Modulo Xが10年こだわってきた「実効空力」の効果がハンパなかった!【PR】

■N-BOXのルーフエンドにギザギザのプレートを付けてみる

比較試乗用のN-BOX のテールエンドに貼られた実効空力デバイス(非売品)
比較試乗用のN-BOX のテールエンドに貼られた実効空力デバイス(非売品)

 さて、問題の“シェブロン”だが、写真を見てもらえばわかるとおり、前は薄くスムーズなエッジ、後ろは鋸歯状のギザギザに成形した樹脂製のプレート。サイズは、前後長5cm、幅30cm、厚さ5mmといったところで、これを左右に3セット並べてN-BOXのルーフ後端に取り付けるという。

 この“シェブロン”の技術的な説明を受けた際、Modulo X開発統括の福田正剛さんにいろいろ質問をぶつけてみたが、返って来たお答えは概ね以下のとおり。

「正直に言うと、詳しい作用機序は今後、研究していく必要がある。風洞実験では三角形の周りに細かい渦が発生しているのを確認している。さらにルーフに加速度センサーを付けて実走実験によるログを取ってみると、ルーフの横変位が明らかに減っていることがわかっている」という。

鋸型の実効空力デバイスを手に、Modulo X開発統括の福田正剛さん(右)と語り合う鈴木直也さん
鋸型の実効空力デバイスを手に、Modulo X開発統括の福田正剛さん(右)と語り合う鈴木直也さん

 さすがエンジニアだけにハッタリなしの誠実な発言と感心しつつ、まずはノーマル状態の走りを確認すべく走り出す。ここで注目したのは、福田さんとの対話に出て来たルーフの横変位だ。

 N-BOXみたいなハイトワゴンは、直線でも路面のアンジュレーションなどでボディが揺れがち。これは重心の高さからくるもので如何ともし難い。あらためてルーフの動きに集中して試乗してみると、予想どおり「ハイトワゴンは揺れが大きい」ことを再認識する。ここまでは、まぁ予想どおりと言っていい。

 「そろそろ“シェブロン”付けてみます?」という福田さんの提案で駐車場にクルマを停め、N-BOXのルーフエンドに“シェブロン”を装着する。素材そのものが磁力でボディに吸着するので、取り付けはいたって簡単。感覚のフレッシュなうちに、同条件で「アリ・ナシ」をすぐ比較できるのはありがたい。

 で、いま来た道を引き返して走り始めたのだが…。

■これまでの常識がコナゴナに粉砕!

法定速度程度では空力効果は体感できないという常識が見事に打ち砕かれた
法定速度程度では空力効果は体感できないという常識が見事に打ち砕かれた

 思わず口をついて出たのは「ヤバイ」という言葉だった。往路、徹底的にルーフの横変位だけに集中してクルマの動きをチェックしてきただけに、その変化には否が応でもすぐ気づかざるを得ない。感覚としては、何かフワッと柔らかいものがボディを包み込んでバネ上の揺れを抑制しているようなイメージ。まさに「キツネにつままれたみたい」としか言いようがない走りの変化なのだ。

 思わず「ちょ、待って。完全に同じルートを走りたいからもう一度Uターンさせて」とお願いして、再度往路で走りを確認することに…。

 まぁ、Uターンして同じ道を再度走っても結果が変わらなかったのはいうまでもないけど、いやはやそれにしても不思議。「50km/h程度では体感できるほどの空力効果なんて出ないでしょ」というぼくの常識は、今回の試乗でコナゴナに粉砕されましたね。

Modulo X開発統括の福田正剛さん(手前)と鈴木直也さん
Modulo X開発統括の福田正剛さん(手前)と鈴木直也さん

 キツネにつままれたままではちょっと悔しいから、N-BOXの前面投影面積を2・5平米、CDを0・35と仮定して、気温25度標準大気圧での空気抵抗の絶対値を計算してみたのだが、速度50km/hで抗力は約100ニュートンとなる。

 もちろん、小さな空力付加物だけで抗力が大きく変化するわけではないが、その「方向」を揃えることは可能と仮定したらどうだろう。

 空気抵抗はクルマの後方に生じる乱流がその主要な発生源だが、乱流はその名のとおり乱れた渦だから抗力のベクトルは不断に変化する(たぶん)。ぼくの完全な想像ではあるけど、ひょっとすると“シェブロン”はその乱流に影響を与えて抗力のベクトルを整える効果があるのかも? そんな楽しい妄想が頭の中を駆け巡りました。

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