TEINの純正交換減衰力調整式ショックアブソーバ「EnduraPro PLUS」をFRスポーツのBRZに取り付けると、乗り味はどう変わるのか? ノーマル車と装着車とを国沢光宏氏が比較試乗してレポートをお送りする!
文/国沢光宏、写真/奥隅圭之
■アフターマーケットのダンパーに交換で何がどう変わる?
優れた耐久性や信頼性などが世界的に評価されている日本車ながら、不思議と乗り心地の質感はよくなっていない。具体的に紹介すると、乗り心地のいいクルマは高速域やコーナーで安定性に欠けてしまいがち。
逆に高速域やコーナーの安定感を出しているクルマだと、道路のデコボコを探す機械の如く、高速道路のジョイントに代表される大きめの入力で突き上げるような振動を出す。
いろいろな理由が考えられるけれど、基本的には「ダンパー交換」を行うことで対応可能だ。とはいえ、アフターマーケットのダンパーもピンキリ。”道路のデコボコを探す性能”が標準よりさらに高くなってしまうこともある(笑)。
■ノーマルは段差での入力が大きめな傾向
今回試乗したBRZにセットされているのはTEINの『EnduraPro PLUS』という製品。純正形状のダンパーで、価格は4本セット8万2500円とリーズナブル。
試乗してみると、ノーマルとの違いが明確にわかる。ノーマルは流して走っているような時は、少しばかり段差での入力(ハーシュネスなどと呼ばれる)が大きめ。乗り心地も上下方向の動きが硬く、しなやかの反対だ。
もちろん、「辛抱できないほど酷い」と感じる人は多くないと思う。ただ、「乗り心地フェチ」の私からすれば厳しい。即座にダンパー交換を考えるレベル。
また、高い速度域でコーナリングしている時の減衰力は、もう少し欲しいところ。危険でこそないものの、減衰力を上げたらもっといいクルマになるだろう。ノーマルは両方のバランスを取ったのだと考えます。
■EnduraPro PLUSの真価やいかに?
EnduraPro PLUSに交換すると、おそらく減衰力をノーマルより高くしていると思う。大入力時の車体の動きが安定する。それでいて流している時の乗り心地も向上。優れたダンパーって減衰力を出しながら滑らかに動くという特性を持つ。
EnduraPro PLUSは純正と比較して減衰力調整(16段調整)が可能なことにより、乗り味を好みに合わせて変えられる。また、「H.B.S.」(ハイドロ・バンプ・ストッパー)が搭載されていることからフルストローク付近の衝撃をしなやかに吸収することが可能だ。さらに取付部の強度アップやシェルケースの強度、容量アップによる剛性感と耐久性向上が施されているのもポイント。
今回の試乗車はBRZだったけれど、ミニバンやSUVのように「乗り心地と高速時の安定性いずれも大切なタイプのクルマ」だと、優れたダンパーに交換することで見違えるような乗り心地になる(クルマ酔いも減ります)。10万円程度の予算でまったく印象が変わることを考えたらリーズナブルだと思う。
さらにバランスを追求したいというのなら『EDFC5』(エレクトロニック・ダンピング・フォース・コントローラ5)という減衰力コントローラーを追加すればいい(同時導入だけでなく後付けも可能)。EDFC5を装着することで減衰力調整の段数は16段→最大96段へ選択可能になる。
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