世界最軽量の「純電動消防ハシゴ車」が誕生! MANとローゼンバウアーの電動技術を組み合わせる

世界最軽量の「純電動消防ハシゴ車」が誕生! MANとローゼンバウアーの電動技術を組み合わせる

 トラックの総重量規制は橋梁や舗装を保護するために導入されたものだが、緊急車両の場合、運行の可否を判断するクリティカルな要件となる。

 このたびMANの中型EVトラックと、ローゼンバウアーの電動エアリアルラダーを組み合わせた純電動消防ハシゴ車が誕生した。(ドイツの)消防の要件をクリアしつつ、重量がかさむバッテリーEVでGVW16トン以下・リアアクスル荷重10トン以下を初めて実現し、建物が密集する都市部の火災現場で活躍が期待される。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus

世界初!? 16トン級の消防ハシゴ車を電動化

世界最軽量の「純電動消防ハシゴ車」が誕生! MANとローゼンバウアーの電動技術を組み合わせる
インターシュッツ2026で初公開されたBEV消防ハシゴ車はノルトライン・ヴェストファーレン州の消防に引き渡された

 消防車両の世界的な大手メーカーとなっているローゼンバウアーと、ドイツの商用車メーカー・MANトラック&バスは「インターシュッツ2026」見本市で、世界初だという軽量級電動消防ハシゴ車を発表した。

 MANが最近発売したばかりのバッテリーEV(BEV)中型トラック「eTGM」に、ローゼンバウアーの電動エアリアルラダー「L32A-XS」を架装した車両で、両社の電動技術を組み合わせることで、ゼロ排出で非常に静かな消防ハシゴ車が誕生した。

 この電動ハシゴ車だが、車両総重量(GVW)が16トン未満、リアアクスル荷重が10トン未満という特徴をもっている。これはドイツで消防車が出動可能な地域を決定する際の要件となっている重量制限を下回るといい、バッテリー重量がかさむBEVでは初めて実現した。

 また、エアリアルラダー(ハシゴの部分)は高さ23メートル・水平距離12メートルで人命救助が可能な23/12クラスの性能規格に準拠し、最初の車両がドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州消防局(Idf NRW)に引き渡されたという。

 ローゼンバウアー・インターナショナルのセールスディレクター、アンドレアス・ツェラー氏は次のように話している。

「これまでどのメーカーも成し遂げられなかったことを、ついに実現しました。バッテリーEVシャシーに架装する、世界最軽量の電動ハシゴ車の完成です。弊社の実績あるハシゴ車に、ゼロ排出で極めて静かという利点を組み合わせました。都市部での運用、空港や工場火災への対応のほか、排気ガスを出さないので訓練や屋内での利用にも適しています」。

 また、MANトラック&バス副社長で営業・顧客ソリューションを担当するフリードリヒ・バウマン氏は次のように述べている。

「弊社のBEVトラックはモジュール式バッテリーを採用しているため、GVW12トンから50トンまで、あらゆる要件に対応できます。新型eTGMは16トンの構成に最適な車両で、消防車の基準に準拠した完全電動ハシゴ車として理想的なシャシーです。消防車の電動化に向けてローゼンバウアー社とともに大きな一歩を踏み出せたことを大変誇りに思っています」。

 いっぽう、Idf NRWのマルセル・フェルカート氏は「最近は訓練にも電動消防車を活用しています。ローゼンバウアー社から『RT』電動消防車を調達したことに続いて、『L32A-XS』電動ハシゴ車が導入されたことで、16トン未満の電動ハシゴ車を特別な承認や検査なしに運用することができるようになります。これは画期的なことです」と話した。

中型BEVトラックの登場で緊急車両の電動化も進みそう

世界最軽量の「純電動消防ハシゴ車」が誕生! MANとローゼンバウアーの電動技術を組み合わせる
ハシゴ車は高所での救助活動に欠かせない車両だ

 シャシーとボディの両方が電動化されているため、この車両は排気ガスを出さず、極めて静かに動作する。駆動ユニットのMAN「eCD210」は、電動モーターと「ティップマチック」2段ギアボックスで構成され、これを車両のフレーム中央に配置する(セントラルドライブ方式)。このユニットが連続出力210kW(285hp)と800Nmのトルクを発揮する。

 エアリアルラダーを駆動するため高トルクの機械式動力取り出し装置(mPTO)を備えるほか、走行プログラムは緊急車両専用に開発されたもので、駆動系のパフォーマンスを引き出し、加速を最大限に優先する走行ダイナミクスをもたらすという。

 電源としてリチウムイオン電池によるバッテリーパック2基を搭載する。これはeTGMの搭載バッテリーとして最小構成となるが、消防車を都市部で展開する場合、平均的な走行距離は約8kmだといい、途中で充電することなく、最大10回の出動を行なうことができる。

 地方ではこの距離が約20kmとなるので、無充電で出動できる回数は約4回分に相当する。充電は最大250kWの急速充電に対応しており、5%から80%への充電が約33分だ。

 ローゼンバウアーのL32A-XSは特に困難な現場で高所からの救助を実現する電動エアリアルラダーで、救助ケージを建物にそって上昇させたり、狭い空間で回転させたりといった市街地での運用に適する。アームは傾斜可能で、窓際や障害物がある場所での救助も可能となる。

 高性能の油圧システムはアウトリガーの展開時間を短縮できるほか、独自の水平・垂直アウトリガーと3次元荷重測定機能により最大限の安全性を保証している。各所にLED照明を備え、救助ケージは最大500kg/5人の積載が可能。ケージの床にストレッチャーを収納することもできる。

 いっぽう、MANが5月に発表したばかりのeTGMは中型トラックに求められる高い架装性を実現したBEVで、GVW12トン級の「eTGL」や、最大50トン級の大型トラック「eTGS」「eTGX」と共通のコンポーネントを採用している。架装に優しいホイールベースや標準装備するmPTOなど、消防車にも適したシャシーとなっており、緊急車両の電動化が進みそうだ。

【画像ギャラリー】世界初! MAN・ローゼンバウアーのGVW16トン未満BEV消防ハシゴ車(6枚)画像ギャラリー

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