ボルボ、ダイムラー、トヨタなどの自動車メーカーと、欧州のエネルギー企業が「水素トラック」でアライアンスを設立する動きを見せている。詳細はIAAで発表される予定だが、水素の供給網と価格を重視し、車両だけでなくエコシステム全体に関与する。
商用車は用途の幅が広く、水素はバッテリーを補完する技術になり得るとしているが、欧州で躍進する中国メーカーをけん制し、乗用車と同じ轍を踏むことを回避する狙いもありそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo・Daimler Truck AG・Toyota Motor Europe
欧州各社が「水素トラック」推進へ
世界に先駆けた「水素トラック」アライアンス設立の動きとなるのだろうか? メーカーとエネルギー各社がドイツで動き始めた。
自動車メーカーによる水素を燃料とする車両と、エネルギー企業による水素サプライチェーン・インフラを組み合わせ、水素トラックを大規模展開するために必要なエコシステム全体を構築しようという試みだ。
詳細については世界最大規模の商用車見本市「IAAトランスポーテーション2026」で9月15日に発表するとしているが、ボルボ・グループ、ダイムラー・トラック、トヨタ自動車、ボッシュ、エア・リキード、トタル・エナジーズ、TEALモビリティ、MBエナジーなど多くの企業が参加する予定となっている。
このうち、ダイムラー、ボルボ、トヨタの自動車メーカー3社は、水素燃料電池システムの合弁会社・セルセントリックで提携している。また、ボッシュも独自の燃料電池システムを提供している。ここに水素を供給するエネルギー企業が加わることで、水素社会のエコシステム全体に渡るアライアンスとなりそうだ。
メーカー各社が燃料電池電気自動車(FCEV)の開発を進めたことで、水素トラックは技術的には既に実現可能となっている。最大の課題は燃料のコストで、グリーン水素(再生可能エネルギーで作るCO2フリーの水素)の価格・供給量が安定しないとバッテリーEV(BEV)よりコスト効率が悪くなる。
このため小型車でFCEVが(BEVに対して)コスト競争力を持つ見込みは小さくなっているが、大型車にはまだ可能性が残る。また、世界最大の自動車市場を持つ中国では、そのスケールを背景に独自の水素エコシステムの発展も始まっている。
欧州市場は電動化により中国メーカーの躍進を許し、乗用車メーカーの苦戦が続く。大型トラックでの水素アライアンスは、商用車でも欧州進出を加速している中国メーカーを迎え撃つための動きにも見える。
競争力のある価格で水素を提供
新たに設立されるアライアンスの活動には、欧州で水素トラックを安定して運行するために、主要な物流道路沿いに水素ステーションを設置し、戦略的な価格で水素を供給することが含まれている。
これにより運送会社は競争力のあるコストで水素燃料を入手でき、水素自動車を運行できるようになるという。これはFCEVだけでなく、水素を燃焼する水素内燃機関にとっても重要で、既存の技術を活用できる水素エンジンは欧州メーカーに一日の長がある。
参加企業はドイツ政府の政策立案者とも協力しているそうで、大型トラック向けの水素エコシステムを世界に先駆けて確立することを目指している。重点を置くのは、水素の供給網と競争力のある価格で、これは水素モビリティの普及という各社の共通目標を反映したもの。
多種多様な用途がある商用車においてBEVとFCEVは二者択一ではなく、包括的な水素エコシステムにはバッテリーを補完する役割が期待される。ただ、それを実現するには、バリューチェーン全体に渡る協力と開発が欠かせない。
具体的には水素ステーションをニーズに基づいて戦略的に配置したり、現実的な価格を実現し、安定して燃料へアクセスできなけらばならない。
こうした要素を組み合わせ、総保有コストにおいて競争力のある環境を作り出せれば、水素は商用車のゼロエミッション輸送において実用的で拡張性の高いソリューションとなり得るという。
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