世界で初めて大型車用AEBSを実用化
さて、日野は積極的にトラック・バスの安全技術を開発してきた歴史があり、2003年に大型車用衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュセーフティ」(PCS。一般略称はAEBS)を世界で初めて実用化した。
それから11年後の2014年、国交省がAEBSの装着義務付けを公布し、2017~21年にかけて車両総重量3.5トン超のトラック・バスへあまねく装着することになった。日野の安全思想の先見性を現しているともいえよう。
この当時すでに国連協定規則「UN-R131」として定められていたAEBSの制動性能の要件は、その2017年から段階的に強化され、2023年1月からはさらなる強化(作動速度領域の拡大など)とともに、歩行者に対する制動要件を新たに追加した「UN-R131-02」へ改定されている。
継続生産車として扱われるセレガ大幅改良モデルと今年7月に発売された26年型プロフィアのPCSは、現時点ではUN-R131対応ということになっているものの、性能自体は-02相当の『PCS歩行者・自転車昼夜検知機能付衝突回避支援タイプ』を先行搭載しており、現在-02対応の認証取得に向けた準備を進めているという。
高速道路での渋滞をシミュレートして実験
PCSテスト体験は、試乗コースの制限から車速50~60km/hでの作動ということで、このテストには従来モデルのセレガが用いられた。この速度域での法規性能は-02と共通なので、新旧で違いはなく、またトラックとバスでも違いはない(ただし-02からバスの特定要件として100km/h域での制動性能が加わっている)。
テスト体験は、セレガの前方に乗用車(に相当する電波反射体を備えた『ユーロNCAPビークルターゲット』=EVT)を走らせ、セレガ60km/hの進路上に低速(30km/h)で移動するパターン、またはセレガ50km/hの進路上に停車しているパターンという、2つの「高速道路内での渋滞パターン」を想定してそれぞれ行われた。
EVTとの距離をミリ波レーダーが測定、その速度差から追突する可能性をPCSが判定すると、軽いブレーキと警報ブザーでドライバーに回避を促し、それでもなおアクションがなければ緊急自動ブレーキで完全停車させる。
実際に外から見ていても、セレガが大きくノーズダイブしているのが容易にわかるが、同乗すると相当に強いブレーキングで、シートベルトを締めていなければ前席シートバックにめり込みそうなほどだ。客席後方からはEVTの某ドイツ車風リアビューがぐんぐん迫ってくるのが見えた瞬間その姿が消え、これは衝突か!?と身構えたが、実際には数メートルの間を空けて無事に停車していたのだった。

