阪東自動車工業がイタリアの特殊クレーンメーカーと共同開発したスカニアベースの特殊トラッククレーンをレポート!! 日本にたった3台しか存在しない、超希少車の実力とは?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2023年12月発売「フルロード」第51号より
特注のスカニア4軸シャシーがベース
スカニアPシリーズの4軸8×4リアエアサスシャシー(P450B8×4NA)をベースとするトラッククレーン。
その正体は、国内外メーカーの特殊車両や重機械の販売/メンテナンスを専門とする阪東自動車工業(大阪府東大阪市)が、イタリアの特殊クレーンメーカー・イドログル社とタッグを組んで開発した日本専用モデル「IB-140S」だ。
架装ベース車は、阪東自動車工業がスカニアに特注したもので、重量物であるクレーン装置を常時搭載するため、サイドレールの内側に補強用のインナーフレームを入れて二重構造化したもの。
私有地内でカウンターウェイトを積んだ状態で低速走行する際などに大きな負荷がかかる前2軸には、専用の強化型アクスルを組み合わせる。
サスペンションは前2軸がリーフサス、後2軸がエアサス。後2軸はそこまで負荷が大きくないため汎用のアクスルを組み合わせている。
現地の上級モデル用をベースとするクレーン装置
作業スペースが限られる建屋内で重量物を吊り上げることを前提に開発された4段ショートブーム仕様のクレーン装置は、最大吊上能力140トン。
ブーム、アウトリガー、旋回リングは現地向けの上級機種である200トン吊りモデル用がベースで、ワイヤーを引っ張るウインチドラムには、これまた現地の300トン吊りモデル用を使っている。
X字型に展開するアウトリガーはクレーン装置と一体式で、格納時のスペースを確保するため、スカニアの工場で排ガス後処理装置などを移設し、さらにイドログル社の工場でバッテリーやアドブルータンクなどの補機類を移設している。
走行状態の車両寸法は全長9720mm×全幅2550mm×全高3480mmで、なおかつ車両総重量34250kgのため緩和車両となるが、カウンターウェイトを外せば通常のトラックと同等の速度で現場まで自走可能。
大型特殊免許が必要な9ナンバーのラフテレーンクレーンと異なり、8ナンバーの特殊車両登録のため、通常の大型免許で運転できるのも魅力だ。