次世代の技術によって自動車を動かす。それはすでに未来のお話ではなくなった。企業や研究所を問わず様々な試行錯誤が行われているなか、太陽光発電のほうは一体どうなっているだろう。その現状を追った。
文/写真:国沢光宏
【画像ギャラリー】太陽光パネルをとりつけたN-VAN e:はこれ!(9枚)画像ギャラリーついに軌道に乗り始めた太陽光自動車
「屋根に載せた太陽光パネルで電気自動車を走らせよう!」というプロジェクト、ついに仕上がりました! 果たして狙い通りのクルマに仕上がっているか? いろんな使い方をしてデータを取った結論から書くと「5年先はこんなクルマが普通になるでしょうね!」というもの。予想していたよりずっと実用性高そう。遠からず太陽光だけで走れるようになりそうな手応えです!
まず太陽光発電だけれど、軽自動車の面積の半分くらいのパネルながら、天気良ければ発電量で400Wを超えてくる。日照時間が12時間となる3月中旬だと5.12kWhの蓄電地ほぼ満タンになりますね。改めて「凄いね!」なのは、走っていても駐車していてもエネルギー貯まること。首都高で渋滞中、発電量を見たら396W! エンジンだとエネルギーを消費するだけなのに!
現時点では太陽光パネルで発電した電力をN-VAN e:の走行用電池に直接送り込めないけれど、次世代の電気自動車は可能になると思う。どちらも直流なので技術的には簡単だし効率良い。実現すれば走行中のエアコンだって余裕で稼働させられる。電力消費量多い冬場のヒーターすら太陽さえ出ていたらカバー出来てしまうだろう。太陽エネルギー、改めて凄いと感心しきり!
現在は蓄電池内蔵のインバーターで交流に変換し、交流用充電カプラーでN-VAN e:へ充電している。変換効率80%弱といったイメージ。4kWh分入れて3.kWh少々分入る感じ。簡単に説明すると、電費が25%落ちると考えたらいい。ということで今回作った545Wの太陽光パネルを搭載するN-VAN e:の年間走行可能距離は2500kmくらいだと思えばOKです。
クルマのサイズに専用設計した太陽光パネルならN-VAN e:の屋根とボンネットにも貼れるため800Wも可能。直流のまんま充電出来るようにしたら変換ロス無くなり、航続距離は25%アップ。そうなると年間6千km走れるようになる! 梅雨の時期や日照時間の短い冬場は外部から充電することも出てくると思うが、いずれにしろカーボンニュートラルに近づくことは間違いなし!
【画像ギャラリー】太陽光パネルをとりつけたN-VAN e:はこれ!(9枚)画像ギャラリー気になる三つの課題
走行テストで問題点なかったか? 三つありました。まず一番の「う~ん!」が屋根から聞こえるギシギシ音。走る度に怪しい場所に騒音対策したのだけれど、低い速度域&細かい入力での騒音はつぶせていない。そもそも振動出る場所に太陽光パネルを設置することなど想定していないため、パネルから出ているのかもしれません。自動車メーカーの騒音担当の人なら一発でしょうけど。
二つめ目はロール感。重い電池を床下に搭載している電気自動車ということもあり、屋根に30kgの太陽光パネルを載せたって普通に走れる。ただ「もっとよくしたい」と考えるなら。高速走行時の落下物回避などで急ハンドル切った時の減衰力を上げたいところ。今回は高速道路無く流れの遅い八丈島での実証試験ということで先送りの課題にしていきましょう。
三つ目に風切り音。70km/hを超えたあたりから賑やかになっていく。当然か! 対策としてキャリア先端にフェアリングを付けてみたら、けっこう効果的でしたね。ワンランク騒音レベル下がった。横風も挙動大き目。強風の日に走ったみたが、フラ付き感出てくる。これまた八丈島ということで対策見送り。いずれにしろフィルムのような軽くて薄い太陽光パネルで解決出来ると思う。
少し課題は残ったものの、すでにSAKURAが少しづつ増えている八丈島に送り出すことにしました。八丈島は本土より年間走行距離が少ない。多くの人が住んでいる三根や大賀郷という地域の年間走行距離は2千kmくらいと言われる。だったらN-VAN e:”だん吉リスペクト号”でカバー出来そう。果たしてどのくらい太陽光エネリギーだけで走れるのか? 楽しみでしかないです。
【画像ギャラリー】太陽光パネルをとりつけたN-VAN e:はこれ!(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方私も、N−VANeを買って、オフグリットと非常事態に対応しようと、300Wですがソーラーパネルを乗せて、2Kのポタ電でN−VANに充電しようと奮闘中ですが、N−VANeの前に持っていた、三菱のEVのミニキャブの100V充電コードで充電しようとしましたが、充電出来ませんでした。ミニキャブはOKでした。
充電コードがホンダ用でないとダメですか?
HONDA版だん吉?
まさにだん吉ですね!!! エコで楽しい取り組みに注目していきます!!
オオオ! 塩川編集長が降臨!
毎年豪州で、ソ-ラカ-レ-ス開催されてるのに。
太陽電池だけで走るのは無理ですがペロブスカイトを車体に貼り付けた形なら重量やデザインの問題もないので将来EVの必須装備になると思います。これで渋滞で電欠などというバカなこともなくなります。
>日照時間が12時間となる3月中旬だと5.12kWhの蓄電地ほぼ満タンになりますね。
残念ながら、なりません。パネルが常に太陽の方を向くような装置でも開発されたら別ですが。
レンズやプリズムみたいなものを使ってあらゆる角度から太陽光を集める技術とかもあるらしいので、
その辺とか使えたら面白そうですよね。
昔、鉄腕ダッシュでも同じ事やってましたね。
貼るペロブスカイト太陽電池で作れば重さや振動は解決できるのでは?