2014年1月20日に発表された3代目新型ヴォクシー/ノア。マスコミ向け試乗会が待ちきれん!! ということで、ディーラーの協力の元実現したZS(2WD)“速攻”試乗の様子をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2014年3月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺陽一郎/平野 学
■使い勝手は徹底した先代モデルの欠点潰しで進化!
「代わり映えがしないね」という印象も受ける新型ヴォクシー/ノアだが、背の高いミニバンの宿命だ。ウィンドウを寝かせたり背を低くすれば、車内が狭まってしまう。アルファードなども変化が乏しい。
そこを考えるとヴォクシー/ノアは確実に進化した。サイドウィンドウの下端を約60mm低く抑え、側方の視界が向上している。運転がしやすく、障害物も発見しやすいから安全だ。
スライドドアを開くと、床が先代型よりも平均して85mm低い。乗降ステップも省いた。床面の地上高は、スライドドア開口部の前端で360mm、後方は380mmだ。低床設計のステップワゴンよりも低く、乗降性は抜群。薄型燃料タンクを開発し、プラットフォームもエンジンの下側を除けば新設計になる。
室内も広がり、全高は先代型より25mm低いのに、室内高は60mm拡大した。開放感があって車内の移動もしやすい。
全長は標準ボディで100mm拡大し、ホイールベースも25mm伸びた。1/2列目の着座姿勢と足元空間を先代型と同等に調節すれば、3列目の膝先空間は新型が55mm上まわる。
さらに低床化で各シートの床と座面の間隔も拡大。3列目は55mm増したから、膝の持ち上がる窮屈な姿勢になりにくい。座面の奥行も10mm増やした。
これらはすべて「先代型の欠点潰し」だ。先代型はセレナ、ステップワゴンのライバル2車に比べて、側方が見にくく3列目は窮屈だった。乗降性はセレナと同等だが、ステップワゴンには劣った。新型はこれらの欠点を一挙に解決している。
そのいっぽうで、従来型の特徴は受け継いだ。3列目席はレバーを引けば左右に跳ね上がり、重いシートを持ち上げる必要がなく格納できる。ステップワゴンの床下格納と違って、畳んだシートが荷室の両側に張り出すが、新型は薄型化した。左右独立して畳めるから、乗員の数や荷物の量に応じた調節もしやすい。パンク修理キットの代わりに、スペアタイヤを装着できるメリットもある。
インパネは中央を張り出させ、ATレバーとエアコンスイッチを装着した。1列目から2列目への移動性は悪化したが、ATレバーやエアコンは操作頻度が高いため、操作性のメリットのほうが上まわるといえよう。
メーターは先代型ではインパネの中央に装着したが、新型はハンドルの奥に移した。先代型は目の焦点移動が少ない半面、前方視界を遮りやすかったからだ。新型は視界が開け、ミニバンでは珍しくボンネットも手前が少し見える。車幅やボディの先端位置がわかりやすい。
【画像ギャラリー】先代モデルの欠点を徹底的に潰して「クラス断然トップ」の出来栄えに!トヨタ3代目ヴォクシー速攻試乗プレイバック!!(15枚)画像ギャラリー■低床化により居住性のアップだけじゃなく走りも向上!
そこで2LガソリンエンジンのヴォクシーZSを試乗すると、実用回転域の駆動力が高まっていた。最大トルクの発生が600回転下がった効果も大きい。フル加速時の性能は大差ないが、坂道などでは余裕があり、前述のライバル2車に勝る。
走行安定性も進化した。先代型は腰高感が伴い、セレナほど操舵感は鈍くなかったが、危険回避時には後輪の接地性が削がれやすかった。新型は操舵感が素直で後輪も踏ん張る。走りのバランスが向上した。
乗り心地は路面の状況によって少し硬く感じるが、細かなデコボコは伝えにくい。
ミニバンは基本的に国内専売だ。特に※5ナンバーボディを用意する2Lミニバンは、ヴォクシー/ノア、セレナ&ランディ、ステップワゴンだけ。しかもミニバンの中心的な存在だから、ヴォクシー/ノアは限られたライバルに勝てばトップに立てる。負ければ販売が必ず低迷する。
そして勝つための必然的な手段が低床設計だった。床が低ければ、乗降性/居住性/走行性能/乗り心地など、すべての機能が向上するからだ。
【画像ギャラリー】先代モデルの欠点を徹底的に潰して「クラス断然トップ」の出来栄えに!トヨタ3代目ヴォクシー速攻試乗プレイバック!!(15枚)画像ギャラリー
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