昨年は交通事故や荷役中など1万6215人の死傷災害が発生! 陸運業の労災死者数が大幅に増加

昨年は交通事故や荷役中など1万6215人の死傷災害が発生! 陸運業の労災死者数が大幅に増加

 トラックドライバーをはじめ陸運業に携わる人の昨年の労働災害発生状況がこのほど発表された。それによると交通事故死が大幅に増え、墜落や転落など荷役中の事故も依然多いまま推移している。

 一般的に労働災害が多いのは、厳寒期と夏場だと言われている。あらためて作業中の事故ならびに健康管理にご注意を!

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、イラスト/焦げ猫
図・資料/陸上貨物運送事業労働災害防止協会

令和5年における陸運業の死亡災害発生状況

陸運業の労働災害発生状況の推移。死傷災害は近年増加傾向にあり、令和5年度は死傷者は減少したものの死亡者は増加に転じた
陸運業の労働災害発生状況の推移。死傷災害は近年増加傾向にあり、令和5年度は死傷者は減少したものの死亡者は増加に転じた

 このほど令和5年の陸運業の労働災害発生状況(確定値)について陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)が取りまとめた特徴等が発表された。

 それによると死亡災害は110人となり、前年に比べ20人の大幅増加となっている。ちなみに死亡災害はここ3年は2ケタ台にとどまっていたのだが、大幅増加は6年ぶりのことだ。

 事故の型別でみると、「交通事故」が前年比15人増の48人と最も多く発生しており、死亡災害の43.6%(前年は37.2%)を占めている(なお、ここで紹介しているのは労災扱いの数値なので、実際の交通事故の数値とは異なる)。

 ついで「墜落・転落」が前年比1人増の25人、「はさまれ・巻き込まれ」が1人減の9人となっている。

 「交通事故」のうち、トラックを起因とする42件の分析結果によると、年齢別の発生状況では、被災者は50歳以上が50%を占めており、トラックドライバーの高齢化を反映した値になっている。ただ、ドライバーの経験年数での発生状況をみると、経験年数5年未満が40%、経験年数5年~9年が26%を占めていることがわかる。

 つまり運転手歴10年未満の経験の浅いトラックドライバーの死亡災害が66%を占めているわけで、この結果はトラックドライバー不足の今日にあって多くの示唆に富んでいるといえるのではないか。

 また、事業場の規模別では、死亡災害は労働者が50人未満の事業場が81%を占めている。

死傷事故は365人減少するも荷役中の事故は依然上位に

 死傷災害全体の件数は1万6215人で、これは前年より365人減少しており、令和2年から続いていた上昇傾向に歯止めがかかった格好だ。

 事故の型別でみると、「墜落・転落」が4207人(前年より87人減)と死傷災害の中で最も多く発生している。ついで「転倒」が2960人(前年より43人増)、「動作の反動・無理な動作」が2902人(前年比38人減)、「はさまれ・巻き込まれ」が1674人(前年比65人減)」となっている。

死亡災害発生状況では、交通事故に次いで落下・転落が高い
死亡災害発生状況では、交通事故に次いで落下・転落が高い

 これらの事故はすべて荷役関連作業起因する労働災害で、前年から多少の増減はあるものの、いずれも高い水準で推移している。

 ちなみに陸運業では、令和2年から流行した新型コロナウイルス感染症による外出自粛等の影響で宅配便取扱個数が増加したが、その傾向は現在も続いており、それが死傷災害が高止まりしている1つの要因として考えられる。

 では、死傷災害の起因物をみてみよう。「トラック」が4855人で30%、ついで「荷姿のもの」が1825人で11%、「通路」が1281人で8%、「人力運搬機」が1170人で7%、フォークリフトが770人で5%となっている。

死傷災害の起因物としてフォークリフトは5%ほど
死傷災害の起因物としてフォークリフトは5%ほど

 死傷災害の被災者の年齢構成をみると、50歳以上が55%超で依然として増加傾向にあり、60歳以上の割合も初めて2割を超えた。ここでも労働力人口の高齢化への対応が課題になっている。

 事業場の規模別でみると、労働者50人未満の事業場が58%を占めており、死亡災害の割合(81%)に比べると、規模の大きい事業場の割合が高くなっているのがわかる。

次ページは : 死傷災害5%の減少をめざす「14次防」がスタート

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