『頭文字D』×実車が交差! 富士で“名シーン再現”——名車FC3S/AE86/エボIII/NSXのオーナー愛で劇的演出【後編】

藤原拓海(スプリンタートレノAE86) vs. 小柏カイ(MR2 SW20)編

『頭文字D』コミック15巻のVOL.167「インベタのさらにイン!!」では、拓海の父である文太、最強のライバルであった小柏健の息子カイとのバトルでは、得意の溝落としによるインベタ走行を超えるコーナーリングで抜き去られ、唖然とする拓海が印象的。高低差の大きいいろは坂ならではのバトルが読者の心を惹きつけた
『頭文字D』コミック15巻のVOL.167「インベタのさらにイン!!」では、拓海の父である文太、最強のライバルであった小柏健の息子カイとのバトルでは、得意の溝落としによるインベタ走行を超えるコーナーリングで抜き去られ、唖然とする拓海が印象的。高低差の大きいいろは坂ならではのバトルが読者の心を惹きつけた

・岡本律哉さん×1983年式トヨタスプリンタートレノGT-APEX(AE86)

高校生の頃からのしげの先生の大ファンという岡本さん。若き頃はバリ伝に影響され、バイクレースにも挑んだ。その後に情熱を注いできたのが、ハチロクだ
高校生の頃からのしげの先生の大ファンという岡本さん。若き頃はバリ伝に影響され、バイクレースにも挑んだ。その後に情熱を注いできたのが、ハチロクだ

 岡本さんが高校2年生の頃、週刊少年マガジンに連載中だった『バリバリ伝説』と出会い、しげの先生のファンに。しげの秀一先生が描くバイクレースの世界にも引き込まれ、ホンダNSR50でミニバイクレースから挑戦。ステップアップを図り、レーシングバイクのホンダRSを駆り、筑波サーキットや富士スピードウェイのレースにも参戦していた。その後、バイクレース活動に区切りをつけ、次の楽しみとして手に入れたのが現愛車のハチロクだ。

 愛車にハチロクを選んだのも、しげの先生の影響。『バリバリ伝説』の連載中のあとがき等でたびたび取り上げていたしげの先生の愛車「トレノ」が印象に残り、「バイクを降りたら、トレノ」と決めていたという。そして32歳の時に現車を購入。今では21年の付き合いとなった。まだ当時は『頭文字D』の連載が始まったばかりで、ハチロクブーム前夜といえるタイミングだったのは幸運といえよう。

 購入時すでにネオクラシックであったハチロクだけに、長年の付き合いでさまざまなトラブルを経験。「こっちが直ればあっちが壊れる。そんな感じですよ」と笑って話す岡本さん。修理を重ねながら、『頭文字D』仕様というよりも、しげの秀一の愛車を参考に仕上げてきた。

 しかし、単にしげの先生の愛車と同じパーツを装着しているだけではない。こだわりのポイントは、なんとツートンカラーの塗り分けという。作中に登場するハチロクは白黒のパンダカラーだが、しげの先生の愛車はツートンの塗り分け方が純正とは異なるという。理由はさだかではないが、岡本さんの愛車も再塗装の際にしげの先生仕様のツートンに仕上げた。岡本さんによれば、純正の黒のラインはもう少し低いという。ちなみに、コミック等の拓海のトレノは純正と同じ塗り分けだそうだ。なんと細かいこだわりだろうか。

 それ以上に驚かされたのが「藤原とうふ店」というロゴの再現。マンガに登場するロゴは一般的なフォントではなく特殊なものだそう。もちろん、岡本号は原作のままを再現。特に特徴的なのが「と」の字だそう。その精巧な作り込みが評価され、2014年~2016年に公開された新劇場版『頭文字D』シリーズの公認車両に認定。プロモーション活動の一環として各所のイベントで活躍したそうだ。

 長年付き合ってきたトレノは、今もエンジンをかけるとワクワクするほど大好きで、運転も楽しいという。今回も、イベント直前にライトが切れたりエアコンのレバーが壊れたりとトラブルに見舞われ、修理に苦労したそうだが、奥さまの理解もあって、ハチロクとの生活を楽しめていることを感謝していると締めくくってくれた。

・「すけふぁび」さん×1994年式トヨタMR2  Gリミテッド(SW20/3型)

アニメの影響でMR2にぞっこんとなった「すけふぁび」さん(写真左)。今もMR2一筋。購入10周年を控えた今、愛車を本物へと仕上げる大プロジェクトを計画中だ
アニメの影響でMR2にぞっこんとなった「すけふぁび」さん(写真左)。今もMR2一筋。購入10周年を控えた今、愛車を本物へと仕上げる大プロジェクトを計画中だ

 テレビで放送していたアニメ『頭文字D』を偶然見たことでMR2オーナーになってしまったという「すけふぁび」さん。当時は軽自動車に乗り、免許はAT限定。そんな普通の女の子が恋してしまったのは『頭文字D』の登場するクルマの中でもクセが強い2代目MR2だった。「ライトが開閉して、エンジンが後ろにあるスポーツカーってかっこいいなって」と当時を振り返る。

 そこから彼女の行動は早かった。もちろん、狙うは小柏カイと同じブルーのSW20だ。専門店に相談すると、「3型のGリミテッドでブルー。しかもATなんてほぼない」との厳しい回答が……。そこで気持ちを切り替え、ブルーには全塗装すればよいと決断。状態のいいものを約1年かけて見つけ出し購入。色も元のブラックからブルーへと塗り替えた。今から9年前の出来事である。

 SW20のファーストインプレッションを尋ねると、エンジン音が後ろから聞こえるのと、後ろから押される感じがよかったと話す。その後、小柏カイ仕様にすべくステアリングを変更し、激レアとなっているTRD製のアルミホイールも手に入れた。

 そんな「すけふぁび」さんを支えるのは、同じくクルマ好きの旦那さんだ(上掲写真右)。やはり『頭文字D』が好きで、愛車は赤黒のハチロクレビン。旦那さん曰く、もともと状態のよかったというSW20だが、それも今の快調な姿があるのは、日頃のメンテや『頭文字D』カスタムを手助けしてくれる旦那さんあってこそだろう。

 当初は、一目惚れの勢いで購入したことから、こんなに長く乗るとは思わなかったというが、10周年を控える今、ひそかな計画が進行中。それはSW20のMT化だ。すでに部品は入手出来ているそう。免許も限定解除済みで、ドライバーの準備は万端だ。近い将来、彼女のSW20は、誰もが認める小柏カイ仕様となっていることだろう。

次ページは : 高橋啓介(FD3S RX-7) vs. 北条豪(NSX) 編

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