■「最初に自工会ブースへ行って、後工程を決めてほしい」
記者/豊田会長は以前、「スポーツカーのBEVは好きじゃない」「運転していて物足りない」と仰っていました。いま現時点でスポーティBEVの可能性について、どのように感じていますか。
豊田会長/はい、5年ほど前のBEVについては、確かにそう(「スポーティBEVはつまらない」と)思っていました。それが近年では変わってきました。やっぱりそれは、長年の「クルマ屋」としての経験が反映されているんだろうなと思います。ガソリンであれハイブリッドであれ、クルマ屋の「走る、曲がる、停まる」という分野での、経験と失敗があったからこそ、バッテリー屋さんと組んで、BEVのスポーツモデルが結構な数、出てきたんだと思います。
記者/本日ここにたくさん記者が来ていて、この話を帰ってすぐ記事にすると思うですが、ええと、いよいよジャパンモビリティショーが一般公開されます、もちろんたくさんのお客さんに来てほしいと思うんですが、豊田会長は特にどんなお客さんに来てほしいとお考えですか? また、これは自工会会長としては言いづらいかもしれませんが、お薦めのブース……というか、来てくれたお客さんに、まずどこのブースから見てほしいでしょうか?
豊田会長/これ、聴いたらそのまま記事にしようとしてますね?(笑)
記者/それは、しますよ(笑)。
豊田会長/えー、それでは…、「どういう方に来てほしいか」というよりは、ここに来てくださった方がみんな、クルマ好き、バイク好き、モビリティっていいなぁ…というような後味を持って帰っていただきたい、と思っています。ですからたとえば、ここに来る前は「おれクルマには別に興味ないよ」っていう方も、「なんか友達に連れられてここに来てみた、クルマ、クルマかぁ、って思っていたけど、モビリティって考えると面白いね」というような感想を持ってもらえることが大事なんじゃないのかと思っています。
それと「まずどこのブースに」という話であれば、やはりまず自工会のブース、『Tokyo Future Tour』です。あそこはまず大画面で物語、ストーリーを体験するんですが、その映像で「未来」を感じてもらいたい。そこにはさまざまな未来の姿がありますが、よく見るとところどころに今回出展している企業の製品や、目指す姿が登場します。なので、あの映像のどの部分に注目したか、どの部分にワクワクしたか、で、今回のイベント全体の「後工程」を決めていただければと思います。
それと、今回コロナ禍も終わって、いろんなブースでステージパフォーマンス系の演出が増えてきました。そういうショーも楽しんでいただきたい。こういう「業界のイベント」だとどうしても商品が中心になりますが、ぜひとも演者さんの演技だとか、込められたメッセージなどを感じていただければと思います。たとえば20分のショーのなかで、ひとつのストーリーがありますから、そのストーリーを感じていただければ、ご自身の新たな扉が開くと思いますので。
(ここで再びマイクを取って)長田委員長/いま会長が紹介した『Tokyo Future Tour』の「Life」という区画では、たくさんの演者さんがパフォーマンスしてくれています。ここはちょっと今回チャレンジだったんですが、義足のモデルの方にもご出演をお願いしています。そういうところも、ダイバーシティであるとか、そういうメッセージが込められておりまして、多様性もモビリティの未来のひとつだと感じていただければと思います。
記者/今回、豊田会長はある意味「東京モーターショーをぶち壊す」、「モデルチェンジさせる」というような思いで作り替えたと思うんですが、ただその結果、「よりモーターショー的な成分が濃くなった」というようにも思えます。そこらへんはどうお考えですか?
豊田会長/それは…わたしがやっぱりクルマ好きだからでしょう(苦笑)。古い人間なんだと思います。それを踏まえて、やっぱり理屈を超えた突き抜けた部分、「クルマが好きだ」というような気持ちを出して何かをやっていると、「ああ、それなら一緒にやろうか」と言ってくれる方も出てきて、共感が生まれると思うんです。そういう「好きなことを、好きな人がやっている」ということが、日本を元気にさせたり、それを世界へ発信するということも大事なんだと思います。
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