豊田章男会長「物語を受け取ってほしい」ジャパンモビリティショー開幕!! いざ東京ビッグサイトへ!!

■税金は高い、ただ「払いたくない」と言いたいわけではない

記者/自動運転車もたくさん出展されていました。そのことについてはどうでしょう。

豊田会長/はい。自動運転は、すこし前まで「それを言わないと相手にされない」というような雰囲気でしたよね。「もうすぐ、2年くらい先には、100年前に馬車が自動車へ変わったように、全部自動運転車へ変わるんだよ」というようなことが平然と言われていた。それが今回くらいで、「ここからここまでなら(自動+無人で)行けますよ」というように、つまり非常に現実的になったと感じています。

 そもそも自動運転については、「無人で走るクルマを作る」という技術力の競争も大事です。それはつまり、人間では限界がある「安全な交通流を作ること」、そして、同じく人間では限界がある、「トレーニングを積んだ上級レベルの運転でしか実現できなかった大量の輸送が(自動運転で)可能になる」ということだと思います。

 そういう(必要な技術進化段階での)「実験」が、すこしずつ「実装」に近づいてきた、最近は「それ」ができた国もでてきたな、ということです。

 たとえばアメリカなどの一部都市では、こういう「実装」がすでにすごく進んでいます。

 で、日本の場合は、各メーカー「自動運転車を作ってくれ」と要求するだけでなく、道路インフラだとかルール(道交法)の定義、それから「自動運転を広める目的はこうだよね」というところを、今まさに、もう少し声を上げる段階に来たんじゃないのかなと思うのです。

記者会見ではメディア側にもきっちり「こういうことをやってほしい」と突きつける豊田会長。和やかな会見で勉強にもなり、記事としてバリューも高いが、こういう話を聞くたび襟を正します
記者会見ではメディア側にもきっちり「こういうことをやってほしい」と突きつける豊田会長。和やかな会見で勉強にもなり、記事としてバリューも高いが、こういう話を聞くたび襟を正します

記者/メーカーだけでなく、政府や自治体に対して「自動運転を積極的に推進してください」と言っていく、ということですね。

豊田会長/はい。たとえばアメリカではすでに無人タクシーが何百台単位で動き始めていて、それを可能にするルールができています。そうすると、そこでは日々データが蓄積され、日々技術が磨かれていて、あっという間に新しい自動運転技術が日本を含む全世界へ押し寄せる可能性があります。

 そしてそれを日本メーカーたちがどう受け止めるか、という話になる。ただそれをきちんと受け止めるためには、日本メーカーの頑張りだけでは難しいんじゃないかと思うのです。

 そこで、本日お集まりいただいた皆さんのような、メディア各社にお願いしたいのは、そういった(交通)ルール、そしてインフラの整備と、相まってやっていく必要がある、という点をご理解いただきたい、ということです。

 近年、自工会ではさんざん、日本の自動車関係所税が非常に高いよ、ということを言ってきました。それは「高いから払いたくない」と言っているわけではなく、そのお金がどう使われているのか、ちゃんと未来へつながるような、たとえば自動運転へつながるインフラ整備やルールの組み立てに使われるような、有効な使い方をしてください、と言っています。そういう中長期的な「軸」を持った論議を、メディアの皆さんにもお願いしたいと思うわけです。

■「もう2時間、伸ばしてもらえないか」

記者/先ほど豊田会長は、「このイベントがゴールからスタートになった」と仰いました。これは、今回のイベントで得られた「組み合わせ」の知見を、次回、次々回に生かしていく、どんどん変えてゆく、という意味だと受け取ってよいでしょうか?

豊田会長/それは今回に限らずもちろんです。こんなことを言ったら問題になるかもしれませんが、今回は「2年に1回」でしたけれども(2019年→2021年はコロナ禍でスキップ→2023年開催)、たとえば「ここでこんな新しい物語が生まれました」というのであれば、よりアジャイルに(機敏に)進めようということで、「毎年やろう」という声が出てきたとしても、それは成功のひとつではないかなと思います。

記者/これは読者の方からも要望があったんですが、「開催時間を2時間伸ばしてほしい(現在は平日、土曜祝日は19時まで、日曜日は18時まで)」、「そうすれば仕事終わりに行けるのに」という声があります。それはいかがでしょうか。

豊田会長/そうですよねえ…これでも今回はちょっと伸ばしたんですけども……。

(質問を引き取って)自工会モーターショー委員会長田准委員長/これはですね、開催時間を延ばすと、そのぶんの(各ブースおよび会場運営スタッフの)労働時間の確保が難しい…という問題がありまして…。とはいえ、仰ることもそのとおりだと思いますし、いままさに内部で議論しているところです。ぜひ前向きに検討いたしますので、もう少々お待ちいただければと思います。次回にはぜひ、はい。

豊田会長/いいんじゃない。次はおれ(自工会の)会長じゃないし。

記者/いやもっと続けてくださいよ。

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