佐藤琢磨が開発でこだわった“4つのモード”
──今話題に出た4つのドライブモードは、新NSXの大きな特徴でもあります。
琢磨 積極的にモーターを使って走る『Quiet』モードは、静寂に包まれたキャビンで異次元の快適性がありますよ。
『Sports Plus』は常にドライバーの意に沿った加速ができるようにしたかったし、『Track』モードでは、本気で走りを楽しめるようなセッティングにしたかった。ここは、開発陣だけでなく、僕自身もこだわった部分ですね。
──では、実際に琢磨選手の新型NSXインプレッションということで、まずハンドリングの評価を教えて下さい。
琢磨 旧型NSXは、とてつもない直進安定性を持ったハンドリングマシンでしたが、新型NSXも旧型以上の直進安定性を持っています。(新型は)空力性能が大きく向上しているので、高速時の安定感はとても高いですね。
最近のクルマは、大きく、重くなり、昔に比べ格段にグリップ性能が向上したタイヤを履いています。ですから唐突な動きが出やすく、扱いが難しい場合があります。ですが、新型NSXは高度な制御も介入しますし、絶対的なスタビリティは飛躍的に上がっています。
──新型NSXは、旧型以上のハンドリングマシンだと。
琢磨 フロントのモーターで左右のトルク差をコントロールするので、本当によく曲がります。それに細かい部分で言うと、旧型と新型NSXのキャスター角って一緒なんですよ。そういう意味ではNSXのDNAもしっかりと受け継がれていますしね。
──エンジンはどうですか?
琢磨 時代の流れに合わせてV6ターボ+3モーターのハイブリッドエンジンになりましたが、とてもパワフルです。ターボ特有のラグをモーターのアシストで消し、リニアなレスポンスを実現しています。
NSXらしいドライバーの意のままに反応するエンジンに仕上がったと思います。そして、ギアボックスがとても心地よい。加速側はさることながら、ダウンシフトがとてもスムースです。
琢磨がジャッジ!! VS旧型、新型NSXは何点?
──開発責任者のテッド・クラウス氏とは、テスト中どのようなコミュニケーションを取りましたか?
琢磨 テッドとはずいぶん一緒に時間を過ごしましたね。彼を横に乗せて、クルマのさまざまな動きを見ながら、『もっとここをこうしたいね!』といったこともやりました。
試験走行では出なかった問題も、バンピーな路面でクルマの限界を引き出すと見えてくる部分があるんです。そこはテッドもとても喜んでいましたし、何度もテクニカルミーティングを重ねました。
──最後に旧型NSXを100点とした場合、ズバリ新型NSXは何点でしょうか?
琢磨 うーん……旧型はスタンダードのNSXに加え、タイプSやタイプRもあり、それぞれ違う“味”を持っていました。新型NSXは4つの走行モードで、旧型にあったNSXの個性を1台で味わえる。
そういう意味では200点……かな(笑)。とてもいいクルマに仕上がっていますよ。
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