2016年11月の月間販売台数ランキングで、30年ぶりに日産に首位をもたらせたノート。
そのなかでもやはりe-POWERの存在は大きなウェイトを占める。そのノートe-POWERにワークスチューンの「NISMO」が登場。
その名に恥じない仕上がりになっているのか、レーシングドライバー松田秀士氏が富士スピードウェイショートコースで徹底インプレッション。
文:松田秀士/写真:平野学
ベストカー2017年1月26日号
走りはコックピットから始まる
エクステリアのなかでノートe-POWER NISMOで注目なのは、リアフェンダー後部のフラットな面。
2017年モデルのGT-Rにも採用されている手法で、リアタイヤハウス内からの空気の抜けを整流し、エアロ全体でゼロリフトを達成しているという。これは基準モデルよりも約30%の向上となる。
いっぽうインテリアで一番気になるのがシート。e-POWER NISMO標準装備のスポーツシートはノートNISMO Sと共通で、しっかりとクッション性を持たせながらも、サイドサポートなども本格的。
他に、オプションでレカロと共同開発したセミバケットタイプも用意される。
で、今回試乗したモデルは標準シート。しかし、これがすばらしい座り心地。NISMOでは、ターゲットカスタマーをパフォーマンス・シーカー(主にZやGT-R)とハイライフ・シーカー(ノートやジュークやマーチ)に分けている。
e-POWERはハイライフ・シーカーでも、スカートの短いお姉サンたちにも注目してほしいとのことだ。確かに、このシートの暖かいフィット感は、女性にもウケるはず。
ノートにはステアリングにテレスコ機構がないため、基準車ではやや前のめりなドラポジだが、このシートなら文句なしのドラポジが取れる。
走り出すと、基準車にはない高級感が漂う。安っぽさが感じられない。それは、ボディから伝わる剛性感と振動の少ない走行フィールだ。
ワンペダルで味わうe-POWERの醍醐味
ノートe-POWERのドライブモードには、ノーマルのDとB、そしてスポーティなSとECOの4モードがある。e-POWER NISMOは、専用チューニングコンピューターを搭載して、ECOモード以外の走りを強化している。
特に、発進加速や低速域からの加速レスポンスが力強い。アクセル全開で高速域に達してしまえば、最高出力&最大トルクは基準車と変わらないが、スポーツモードではレスポンスと加速性能が明らかに強化されている。コーナーからの立ち上がり加速が気持ちよく、踏みすぎ注意である。
e-POWERの醍醐味は、アクセルワンペダルによる速度コントロール。そこで、NISMOは加速性能だけでなく、減速域もチューンされている。
ノーマルでは低速になるにしたがって回生ブレーキが強くなるが、NISMOでは高速域から同じテンションで回生ブレーキが作動する。
つまり、アクセルを離せば、どの速度域からでも高い回生ブレーキ(最大0.15G)が得られ、回り込んだコーナーでのアクセルON/OFFで威力を発揮。コーナリング中、アクセルだけでもハンドリングをコントロールできる。
リーフと同じパワーユニットを搭載し、リーフよりも約130㎏も軽量ゆえに、その走りは軽快でスムーズ。とはいえ、ノートの基準車よりは約100㎏重いため、フロントエンドのバンパー内にクロスバーを採用し、フロアトンネルにもトンネルステーを追加して剛性を高めている。
これらによって操舵に対する応答性もよく、素直にロールする。サスペンションは、フロントはスタビ径のサイズアップと、リアは約30%スプリングレートを固めている。
もちろんダンパーも外筒径をアップして減衰力をチューン。これらのチューニングを担当したのは、日産の匠集団ともいえるオーテックジャパン。すばらしい仕上がりだ。
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