自然吸気5リッターV8を操る贅沢!! レクサスの旗艦クーペ「LC」がたどり着いた8年目の到達点!!!

クルマが「より小さく」、「より軽く」感じる

コーナリングは「ラグジュアリーのスポーツ」ではなく「スポーツのラグジュアリー」を感じさせる
コーナリングは「ラグジュアリーのスポーツ」ではなく「スポーツのラグジュアリー」を感じさせる

 パワートレインは、今や貴重となった自然吸気のV8-5L(2UR-GSE)に10速ATという組み合わせは不変だが、ムービングパーツの質量合わせとクリアランス最適化が行なわれた高精度チューニングエンジン仕様。さらにリアディファレンシャルも熟練技術者がバックラッシュ調整を手作業で行っている。

 シャシー周りはボディ形状に合わせて専用セットだ。クーペはリアアルミ中空サスペンションメンバー(剛性が通常品の約2倍)と専用セットアップのサスペンションを採用。これだけ聞くと2023年に登場した「EDGE」と同じ内容に見えるが、今回は後輪操舵のDRS(ダイナミックリアステアリング)仕様がベース。一方コンバーチブルは、専用セットアップのサスペンションのみの採用だ。

 その走りはどうか? クーペは「駆け抜ける喜び」が増している。LCはスポーツと言いながらも車両重量が2トン近い重量級だが、走らせているとクルマが「より小さく」、「より軽く」感じる。

 フロントに重いV8を搭載しているにも関わらずステアリングを切ればスッとノーズがインを向く回頭性の良さ、タイヤのグリップで無理やり曲げるのではなくクルマ全体で素直に曲がる旋回の様は、「ラグジュアリーのスポーツ」ではなく「スポーツのラグジュアリー」と言えるモノだ。

 初期モデルでは直進ではフラフラ、コーナリング時はリアから強引に曲がる感じで積極的におススメできなかったDRSだが、PINNACLEはそのネガはほぼ感じることはなく、むしろハンドリングに「切れ味」や「鋭さ」がプラス。つまりDRSを使い切れる基本素性に成長した……と言うことだ。

心のゆとりを生むコンバーチブル

ソリッドさよりもしなやかさを是とするコンバーチブル
ソリッドさよりもしなやかさを是とするコンバーチブル

 一方、コンバーチブルはクーペとは逆に「駆け抜けない喜び」が増している。回頭性の良さやクルマ全体で素直に曲がる旋回の様はクーペと同じ印象だが、コーナリングの一連の流れがいい意味で穏やかな上にその時間軸もゆっくりに感じた。

 ただ、勘違いしてほしくないのはダルなわけではなく、心地よい“間”がある……と言うイメージ。例えるならば「スッ」と曲がるではなく「ジワーッ」と曲がる感じだ。確かにクーペよりもクルマは動くものの、絶妙な所でピターッと抑えてくれる絶妙なバランスが何とも素晴らしい。

 もちろん、追い込んだ走りでもシッカリと応えてくれるポテンシャルを備えるが、個人的にはその手前の7~8割のペースで走っている時が最も気持ちよく爽快に感じた。

 言うなれば、高速道路の追い越し車線やワインディングの二車線区間で目を三角にしてすっ飛ばしていくモデルを横目に見ながら、「あの方たちは心に余裕がないのね、オホホホ」と笑って見送ることができる、「金持ちケンカせず」の心が自然と生まれるような余裕の走りと言ったらいいだろうか?

 快適性は2台を比べるとクーペは「ソリッド」、コンバーチブルは「シットリ」と言った違いはあるものの、どちらも安全靴からスニーカーに履き替えたかのような軽快かつしなやかな足さばきのバネ下と、空力で無駄な動きを抑えてフラットに保つバネ上とのバランスから、ノーマルより快適性は高い。個人的にはドライブモードの「コンフォート」は不要で「ノーマル」で十分だと思う。

 逆に「スポーツ+」はより“やる気”のモードになっていたが、この辺りを武藤氏に聞くと「体幹が増したことで、より攻めたセットアップが可能になったため」と教えてくれた。

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