商用バンN-VAN e:に続くホンダの軽EV「N-ONE e:」に試乗した。乗り出してすぐ、軽自動車離れした乗り心地に驚愕。EVならではの静けさもあいまって、こりゃ軽自動車とは別モノの乗り物かもしれない!
文:ベストカーWeb編集部/写真:奥隅圭之
なぜ「N-BOX e:」ではなかったのか?
まずは誰もが考える疑問。ホンダはN-BOXという大人気の軽自動車を持ち、そこから派生した商用EV、N-VAN e:も持っている。だったらなぜN-BOX e:を作らずにN-ONE e:を作ったのだろうか。
開発陣に尋ねてみたところ、車重や空力といった要因もあるものの、最大の意図は「セカンドカー需要」なのだという。
スーパーハイトワゴンであるN-BOXは、優れた万能性からファーストカーとして乗られるケースが多い。いっぽう現時点での軽EVは、セカンドカーとしてのニーズが高いとのこと。そこでベース車にはあえてN-BOXではなく、N-ONEを選んだのだそうだ。
実際N-ONE e:の想定ユーザーは、40~50代の女性だというから興味深い。
N-ONEよりもシンプルでクリーンな印象
そんなN-ONE e:を横浜みなとみらい周辺で試乗してみた。
クルマを間近に見て感じるのは、N-ONE同様の愛犬っぽい愛らしさ。しかしフロントマスクはシンプルなカドマル形状に変更されており、ヘッドライトの丸い目玉は上部をカットし「まゆげ感」を出している。N-ONEよりもシンプルでクリーンな印象だ。
左右ヘッドライトの間には普通充電と急速充電のポートがあるが、これはN-VAN e:と共通。もっといえばバッテリーやパワーユニットも、軽バンN-VAN e:と同じだ。
ボディパネルだがN-ONEと共用なのは前後ドアとリアクォーターだけで、フロントフェンダーやボンネット、リアドアパネルはN-ONE e:専用だそうだ。
試乗車のくじ引きで割り当てられたのはベースグレードのG。価格は269万9400円だが、CEV補助金が57.4万円出るから、実質212万5400円となる。「ディスプレイオーディオもなしです」と聞いてのけぞったが、あとで杞憂であることが分かった。
センターディスプレイがないクルマは今どき貴重
直角近くまで開くドアを開けていざクルマに乗り込もうとしたら、わずかだが車内の床が高いことに気付いた。サイドシルの高さがそのままフロアになっている感じだ。
これはいうまでもなく床下のバッテリーのせいだが、リアシートに座ってみると少しもも裏が浮く感じ。いっぽうヘッドクリアランスなどはN-ONEと変わりなく、視界の良さもあって窮屈さは感じない。
ダッシュボード自体の造形はN-ONEとは違ってすっきりした印象。横方向の直線基調が幅広感も出している。
前述した通りディスプレイオーディオはないが、これはこれで前方視界が広くて悪くない。望めばディーラーオプションの8インチディスプレイオーディオが付けられる。ちなみに上位モデルの「L」には、9インチディスプレイオーディオが標準だ。
ペダルの踏みかえを激減させるシングルペダルコントロール
前置きが長くなったが、パワースイッチをONにして駐車場から公道へ出る。
歩道の段差をストンと降りただけで、「うおー乗り心地がいい!」と感じた。EVの重さはネガな印象が優先しがちだが、ここではその重さが奏功している感じ。ダンパーの動きにメリハリが出て、路面からの入力をしっかり減衰させていると感じる。
街中のストップアンドゴーで威力を発揮したのが、ホンダのEV初となるシングルペダルコントロール。アクセルオフ時のエネルギー回生を減速に利用しようというものだが、完全停止まで対応するので右足が実にラクチン。
ヘタなシングルペダル制御は同乗者の頭がふらついたりして不快なものだが、N-VAN e:の制御は緻密で違和感がなかった。
もう一つ、意外に大きいのがパーキングブレーキの電動化だろう。N-VAN e:はコスト抑制のため同ブレーキが機械(足踏み)式だったが、N-ONE e:は晴れてEPB(電動パーキングブレーキ)を採用した。これによってアダプティブ・クルーズ・コントロールも、完全停止まで対応するようになった。



















コメント
コメントの使い方ホンダEV初のシングルペダルコントロールは、N-ONE e:ではなくHonda eです。
シングルペダルコントロールはホンダのEVで初と書かれていますが、Honda eにも付いていたのでN-ONE e:が初ではありません。
EVは軽自動車を(さらに高額化して庶民の乗り物じゃないように)変える!!