2017年4月から5月にかけて、日野自動車「プロフィア」、UDトラックス「クオン」、三菱ふそう「スーパーグレート」の新車発表会が相次いで開催された。
15〜20年がモデルサイクルといわれていた大型トラックだが、約1カ月間に国産4車中3車が新車に切り替わるというのは、長年トラック業界を取材しているジャーナリスト諸氏にして「異例」と言わしめる事態である。
いったい何があってそんなことに!? 専門誌記者がその事情と各モデルのレポートをお届けする。
文&写真:バスマガジン編集部
■新たな排ガス規制と先進ブレーキ義務化が呼んだ奇跡
2017年は大型トラックの新車ラッシュとなった。この背景にあるのが、いわゆる「ポストポスト新長期」と言われる排ガス規制だ。
この規制は2017年9月から生産継続車まで適用されるため、待ったなしの対応が迫られていた。
これは現行規制(ポスト新長期)に比べるとNOxを約43%削減するという厳しい内容であり、これまで段階的に強化されてきた大型車の排ガス規制のひとつの区切りとも言われている。
高圧噴射や冷却システム、あるいは排出ガス後処理システムなどの強化でこれまでの排ガス規制を乗り切ってきた大型トラックだが、それ以上に高いハードルをクリアするためには抜本的な改良、つまり新型車投入が必須の状況となったのである。
さらにもう1点、大型トラックに課せられたテーマに「安全装備の新基準」がある。
これは「先進ブレーキシステム(AEBS)フェーズ2」と呼ばれるもので、2019年11月から強化が予定されている。そのひとつの基準として、「自車速度が80㎞/hのとき10㎞/hで走行中の前方車両に衝突せずに停止させる」という規定がある。
積み荷を含めた車両総重量(GVW)が25tにも達する大型トラックを緊急ブレーキで停止させるには、ミリ波レーダーやカメラの追加、あるいはブレーキ強化といった小手先の対策では達成できるものではなく、あらゆる運転パターンを想定した自動ブレーキプログラムを構築する必要がある。
目前に迫った排ガス規制と、少し先に訪れる安全対策。このふたつを達成させるため、同時期に大型トラックのニューモデル登場という“奇跡”が起こったわけだ。
■何もかも進化を遂げたスーパーグレート
ニューモデル3車のうち正式発表が最後になった三菱ふそうのスーパーグレートだが、発表の2カ月半前には報道陣向けに技術説明会を開催するとともに、ホームページで新型車のイメージ画像を公開するティザーキャンペーンを展開するなど気合い十分。
事前試乗会を実施したのもスーパーグレートだけである。
さて、21年ぶりに新型となったスーパーグレート、最も注目されるのはダウンサイジングされた新エンジンだろう。従来の12.8Lから新開発の7.7L、10.7Lにチェンジされた。
ともにダイムラーのプラットフォームをベースに日本での使用状況に合わせてセッティングされている。
7.7Lは2ステージターボが、10.7Lにはアシンメトリックターボが組み合わされる。主力となる7.7Lは、エンジンだけで従来モデルより540㎏の軽量化を達成しており、積載量が重視されるトラックだけに、これが大きなポイントになる。
もうひとつ新型スーパーグレートの特長となるのが新開発12速AMTで、なんと三菱ふそうはスーパーグレート全車にこれを標準装備した。
つまりこの車種ではMTが廃止されたということであり、大型トラックの2ペダルがまた一歩進んだことになる。
さらに、トルコン式ATのようなクリープ機能を追加され、乗用車感覚のドライビングが実現した。
試乗してみると、シフトアップ&ダウンが素早くかつスムースで、小排気量化に伴うエンジンのトルク不足を補っているのが実感できた。
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