安全運転支援機能では、G以上に標準搭載される「プロパイロット」がナビリンク機能付きで、渋滞時には時速50km/h以下でのハンズオフ走行、時速60km/h以上での車線変更支援などに対応する。さらに上位機能となる「プロパイロット2.0」もGグレードにオプションで設定される。ボディカラーは新開発の2トーンカラー「FUJI DAWN×至極」を含む5種類を用意した。
グレード構成を見ても、新型エルグランドが単なる実用ミニバンにとどまらないことがよくわかる。AUTECHは専用のエクステリアパーツやインテリア装備で仕立てたスポーティなカスタムカーで、VIPはショーファードリブン需要にも応えられるような格式ある内外装を備える。同じプラットフォームの上に、乗る人の好みに合わせて何段階もの選択肢を用意してきたところに、開発陣の本気度が見えてくる。
この新型エルグランド、発表前からの先行受注はすでに6000台を超えており(7月13日時点)、内訳はGグレードが9割を占めるという。上級グレードへの期待の高さがうかがえる、幸先のよいスタートといえるだろう。3代目時代には月150台前後まで落ち込んでいたことを思えば、この立ち上がりの勢いがどれほど大きな意味を持つかは明らかだ。もちろん、発売直後の先行受注はあくまで滑り出しの数字であり、今後の実売でどこまで積み上げられるかが本当の勝負になる。
発表会に登壇した日産自動車チーフプロダクトスペシャリストの中村知志氏は、開発コンセプトについて「今回この新型の4代目のエルグランドはコンセプトを『リミットレス・グランドツアラー』というふうに名付けて開発を進めてまいりました」と説明。
「16年ぶりのフルモデルチェンジということで、我々もですね、今日この日を迎えられて感無量でございます。ひとつひとつに、こだわってこだわってこだわりまくったクルマになっております」
と、感慨と自信の入り混じった言葉で締めくくった。日産の執行職・杉本全氏も「わたしたちは新型エルグランドを、これからも日産の成長を牽引する重要なモデルと位置付けています」と、新型への期待を語っている。

いま日産は危機的状況だ。横浜グローバル本社を売り、追浜工場を閉め、2027年度までに計20,000人の人員削減を行う。そのうえでアメリカ、中国に並んで日本を「リード市場」と名付けて、経営再建のための重点マーケットに位置づけた。
つまり新型エルグランドは「絶対に売り伸ばさなければいけないクルマ」だ。自動車情報専門メディア界隈では、新型エルグランドに乗ったスタッフは口をそろえて「走りがいい!」と言っている。公道試乗会が予定されているはずだから、本企画担当編集はその機会を楽しみに待ちたいが、読者諸兄もぜひ最寄りの販売店で試乗してみてほしい。すげえいいらしいです。
16年という長い沈黙を経て帰ってきた新型エルグランドは、第3世代e-POWERとe-4ORCE、そして日本の美意識を凝縮したデザインを武器に、月9000台規模を誇るアルファード/ヴェルファイアの牙城に挑もうとしている。かつて高級ミニバン市場を創り出した王者の血統が、令和のいま、どこまで存在感を取り戻せるのか。その答えは、これから続く販売の現場で示されていくはずだ。
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