モータースポーツに大きなニュースが飛び込んできた。それはマツダが「耐久王」と名高いレースチーム”ヨーストレーシング“と手を組むというもの。
マツダが耐久に強いチームと組む、となるとどうしてもル・マンを思い出してしまうが……。いまマツダがどんな思いでこのコラボを実現したのか、ベストカーWEBが迫ります。
文:ベストカーWEB編集部
写真:MAZDA USA、平野学
マツダのモータースポーツを知っているか?
マツダのイメージは「ロータリー」かもしれない。そのイメージの根源はコスモスポーツであり、RX-7かもしれない。
しかしロータリーエンジンを世界に知らしめたのは第59回ル・マン24時間耐久レースだろう。
1991年6月23日、4ローターのロータリーエンジンを積むマツダ787Bは、日本車で唯一の総合優勝を果たしたクルマとなる。これは今日の果敢なトヨタのル・マン挑戦でも破られていない。
そんなマツダだが今日のマツダにはレースイメージがないというクルマ好きも多いかもしれない。
ロードスターパーティレースやグローバルMX-5カップは出ても、それ以外のマツダのモータスポーツ活動はなかなかイメージしにくい。
しかし、世界規模でマツダがワークスとして戦っていることをあなたは知っているだろうか?
それがアメリカのIMSA選手権である。デイトナ24時間レースも含む、アメリカ国内の選手権だ。かつては日産フェアレディZ(Z32)が選手権のなかの1戦でもあるデイトナ24時間を制するなど、日本車の活躍も記憶に新しい。
そこにマツダは2014年から参戦している。2017年シーズンは表彰台も手にしており着々と進化を続けている。このクルマかなりかっこいいのだが、あまり日本のクルマファンには馴染みが薄いのがちょいと残念。
マツダがル・マンに帰ってくるというウワサの真相は!?
そんなIMSA選手権に参戦中のマツダがなぜ「ル・マン」に帰ってくるというウワサになっているか、だ。元を正せばIMSAのレギュレーションにある。
マツダが現在IMSAシリーズに参戦しているクラスは「P」と呼ばれるプロトタイプクラスだが、来年からは「DPi」というクラスがスタートする。DPiクラスは”Daytona Proto international”の略ですでに2017年シーズンから導入されているもの。
実はこのクラス、ル・マンの車両規定でもあるLM P2との互換性があるのだ。LM P2規定のシャシー(ダラーラ、オンローク、オレカ、リレイ/マルティマティックの4社が製造したシャシー)を使用することが義務づけられているが、空力デザインなどは比較的寛容で市販車の意匠を取り込むこともできる。
またLM P2がイギリスのギブソン社製V8の搭載が義務なのに対し、DPiは自社開発のエンジンの搭載が認められている。
現在マツダがIMSAシリーズに参戦しているマシンRT24-Pは、イギリスのAER社と開発した直列4気筒の2.4Lターボを積むマシンでDPi規定に則った車両だ。
マルティマティック社と空力を煮詰め、600psを発揮している。今後はDPi規定のマシンがそのままル・マンに出れるようなレギュレーションになれば、充分ル・マンへの復活の可能性はある。
しかし現段階ではDPiマシンがル・マンに出られる確証はない。
デイトナ24時間レースとル・マンへのダブルエントリーも可能となりプライベーターには嬉しい話なのだが、いかんせんこれはヨーロッパとアメリカ間の高い壁が存在するお話なのでなかなか難しいようだ。
まあそうなりますよねー、と落胆したところでマツダと名門チーム「ヨーストレーシング」とのコラボレーションが決定した。
この「ヨーストレーシング」というチームは”耐久王”でもあり、近年ではアウディとのタッグでル・マンで無敵を誇ったのも記憶に新しい。
ル・マンで16回も優勝をしているまさに”耐久王”の名がぴったり。そんなチームとマツダがタッグを組むのだからどうしても話がル・マンにいってしまうのは仕方ない。
ル・マンでこれまで蓄積してきた膨大なル・マンのデータがヨーストレーシングにはあるのだから、マツダがDPi規定車両をLM P2規定車両にコンバートするのは不可能ともいえまい(すぐに勝てるほど甘くないであろうが)。
とはいっても現状のレギュレーションではIMSAシリーズのDPi規定車両が、ル・マンという舞台で走れるのはいつになるかわからない。
しかし、まずは来年のデイトナ24時間レースでこの夢のコラボレーションは確実にスタートする。マツダと”耐久王”のコラボレーション、とっても楽しみではないか!!
コメント
コメントの使い方