カローラなのにスズキのエンブレム!? スズキ版カローラが欧州で間もなく発売。
スズキの欧州法人が9月15日、RAV4 PHVのOEMとなる「アクロス」に続く、トヨタからの欧州向けOEM第二弾「スウェイス」を発表し、今冬から発売する。
本稿ではスウェイスに加え、最近動きがあったトヨタとスズキの協業を紹介していく。このところ欧州で活発なトヨタとスズキの協業にはどのような背景があるのか? 実は間もなく復活する懐かしい車名もある。
文:永田恵一/写真:SUZUKI
【画像ギャラリー】本文未掲載の内装も見られる! トヨタとスズキの協業から誕生した新型スウェイス!
■“スズキ版カローラ”スウェイスはどんなクルマ?
新型スウェイスは、2019年3月に発表があった両社の協業の内容に記された「トヨタからスズキへの欧州での電動車のOEM供給(RAV4とカローラワゴン)」を具現化したもので、カローラツーリングスポーツのスズキ版である。
ベースとなったカローラワゴンは、全長4655mm×全幅1790mm×全高1460mm、ホイールベース2700mmというボディサイズからわかるとおり、日本では日本専用ボディで販売されるカローラツーリングではなく、欧州で販売されるカローラツーリングスポーツとなる。
スウェイスとカローラツーリングスポーツの違いはOEMだけに、フロントマスクに付くエンブレムやフォグランプの位置、フロントグリルの形状に代表されるフロントバンパー、ステアリングやバックドアに付くスズキのエンブレム程度にとどまり、RAV4 PHVとアクロスほどの違いはない。
■パワートレーンは1.8Lハイブリッドのみ! なぜスウェイスを発売?
パワートレーンは、カローラツーリングスポーツが1.8Lと2Lのハイブリッド専用車となっているのに対し、スウェイスのパワートレーンは1.8Lハイブリッドのみだ。
トヨタでプリウスなどにも搭載されるカローラツーリングスポーツの1.8Lハイブリッドの代表的な性能は、システム出力122馬力、0-100km/h加速11.1秒、最高速180㎞/h、WLTCモード燃費22.3km/L(最良値)となっており、スウェイスもこれに準じる。
また、スウェイスがハイブリッドのみとなるカローラツーリングスポーツのOEMとなることから、アクロス同様にスズキが欧州の厳しいCAFÉ(企業別平均燃費規制)をクリアするためのモデルという目的も大きいことが分かる。
スウェイスの仕様に関しては公開された写真や16インチとなるタイヤサイズなどから想像すると、カローラツーリングスポーツのベーシックグレードとなるICON系に近いものとなると思われる。
価格は発売が近づいた際に発表されるが、前述したカローラツーリングスポーツの1.8LハイブリッドのICONのイギリスでの価格が2万5455ポンド(約344万円)であることから、スウェイスも同等となるだろう。
スウェイスの日本導入はカローラツーリングスポーツがイギリス工場で生産される点や、日本では日本専用ボディのカローラツーリングが販売されることから、ほぼないと考えられる。
■トヨタとスズキの協業に更なる動きでスターレット復活?
『ベストカーWeb』7月8日公開のアクロスの紹介記事でトヨタとスズキの協業の内容を紹介したが、9月1日にアフリカ市場向けの日本では絶版となっているスズキ バレーノのトヨタへのOEM供給が正式に発表され、9月中旬から南アフリカでの販売が始まっている。
アフリカ市場でのバレーノのOEM販売は、豊田通商が行うもので、アフリカ市場でトヨタブランドを付け販売するバレーノの車名はなんとヤリス/ヴィッツの前身だったスターレットとなる。
ちなみにインドでトヨタにOEM供給されるバレーノの車名は最終型となった5代目スターレットのスポーツモデルのグランザで、スターレットがヴィッツになって21年が経った2020年になり、新興国ではスターレット絡みの車名がブレイク中だ。
この流れを見ると、次にバレーノがトヨタブランドで投入される国があった際の車名は5代目スターレットの標準系に使われたルフレか、3代目と4代目モデルのお買い得グレードに使われたソレイユかもしれない。
車名に関してはさておき、アフリカ市場でのスターレットの販売はアフリカ市場の中間層の拡大を見据えたもので、仕様は1.4LガソリンNAエンジン(最高出力93馬力&最大トルク13.3kgm)+4速AT&5速MTとなる。
既報のとおりトヨタとスズキの協業は多岐に渡るので、日本での動きは少ないとしても、今後の展開が楽しみだ。
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