新型ノート 8年ぶり刷新で異例の小型化! なぜ小さくなったのか

■新型ノート あえて小型化の背景にマーチとの兼ね合いも

欧州向けのコンパクトカー「マイクラ」。全幅が1700mmを超える3ナンバーサイズ
欧州向けのコンパクトカー「マイクラ」。全幅が1700mmを超える3ナンバーサイズ

 日産には、コンパクトカーのマーチがあり、海外ではマイクラの車名で販売されている。そのマイクラは、2017年に欧州ですでにフルモデルチェンジをしている。ただし、日本の規格では3ナンバー車となる大きさだ。

 エンジン車のみでの販売であり、ディーゼルエンジンの選択肢もある。変速機はマニュアルシフトのみだ。欧州の大衆車の典型的な姿といえる。

 競合と考えられるフォルクスワーゲン ポロ、プジョー 208、ルノー クリオなどもみな車体全長は4mほどだが、いまでは全幅が1.7mを超え日本でいう3ナンバー車となっているので、マイクラも同様の車幅が必要だろう。

 しかしこれを日本へ持ち込んでも、従来のマーチ所有者が買い替えるとは思えない。また、国内でのコンパクトカー販売は、法人営業において軽自動車を視野に入れながら安さが勝負となり、3ナンバー化して上質さを高めていくコンパクトカー競争のなかで苦戦を強いられるのは明らかだ。

 そう考えると、2020年夏にマーチは一部改良が施され、安全に関わる運転支援機能を標準装備化するなどは行われたが、2010年の発売から10年を経た今日、モデルチェンジの機会や、商品企画の詰めは、なかなか結論を出しにくいのではないか。

 新型ノートも、e-POWER専用車とした背景に、法人営業のためのガソリンエンジン車を止め、高品質でのe-POWERの実現を目指した。次のマーチも、ハイブリッド車の選択肢は不可欠で、そこにはe-POWERが用いられるはずだが、それと法人営業用の原価との調和は、難題であろう。

 マーチからの買い替えの受け皿として、多少とはいえ車体寸法を小型化した新型ノートは候補車両になっていくのではないか。

■マーチやディーダを愛好する日産党の受け皿に

先代よりもワンランク質感を上げて登場した新型ノートは、ティーダに乗り続ける顧客の受け皿になるだろう
先代よりもワンランク質感を上げて登場した新型ノートは、ティーダに乗り続ける顧客の受け皿になるだろう

 受け皿という点においては、2012年に販売を終了したティーダを所有する顧客も、新型ノートに目を向ける可能性があるのではないか。

 ティーダは、それまでのサニーやパルサーの後継といえる位置づけにあり、5ナンバーのハッチバック車を求める消費者に迎えられた。提携を結んだルノーと共通のプラットフォームを活用し、確かな操縦安定性と、フランス社風の座席の心地よさなど、それまでのサニーやパルサーに比べ、上級車種の趣があった。

 しかし、初代のみで生産を終え、2代目は作られたが中国など海外向けであり、ティーダの所有者は次への行き先を見失った。2012年に前型のノートが2代目として登場したが、2016年にe-POWERが搭載されるまでは、ティーダの所有者を満足させる仕上がりではなかったといえる。

 だが今回は、e-POWER専用車となることで、ティーダに乗り続けた顧客も納得できる品質ではないだろうか。車体寸法自体は、ティーダに比べ20cmほど全長が短いが、外観の見栄えや上級車感覚では遜色ない。

 新型ノートは、従来のノート所有者のみならず、マーチやティーダを愛用してきた日産車党の顧客をも呼び寄せる寸法や品質を持ち合わせた、国内販売の重要車種といえるだろう。

【画像ギャラリー】新型ノートの小型化を語るうえで欠かせない日産車ラインナップ

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