■「ここまでやるか」と圧倒
編集部 この「けもフレ フィット」、いろんなパーツが付いているんですが、「特にここにこだわった!」という部分があればお教えください。
山田氏 そうですね……。やっぱり内装かな。最初に(シートの)生地から選ぶんですが、(竹腰氏と)2人で問屋に行ってサンプルをたくさんとってきて、それを組み合わせて「これとこれでどうか」ってずっとやって……。あとは耳とか。
編集部 耳?
山田氏 ああ、シートの耳です。最初、彼女(竹腰氏)がクレイモデルであの耳を作ってくれたんです。
編集部 ク、クレイモデル作ったんですか。
竹腰氏 もともと二次元の作品を三次元にする、というところで、かなり厳しさ、というか、壁があるんですよね。
浜田氏 あの造形は何回もやり取りしました。
編集部 耳で何回もやり取り。
山田氏 これは原作のサーバルなのか、アニメ版のサーバルなのか、とか。全部バランスが微妙に違うんです。
編集部 こだわりがすごい。
竹腰氏 あのシートについてる耳って、人間が座った時に、その人の頭の上に耳が付いているように見えると可愛いな、と思ってバランスを考えたんですけど、それを伝えると「ではそのバランスだったらもうちょっとこう……」というようなやり取りを何度もしました。
わたしはこの企画が決まってから(アニメ『けものフレンズ』を)見たんですけど、見ているうちにどんどんハマってしまって、最終的には「どうすればサーバルちゃんのあの可愛さを表現できるだろう……」と悩むようになりました。
浜田氏 うちはもはや社長も(アニメ『けものフレンズ』を)12話見てますからね。
山田氏 サーバルちゃんの(シートの)あの斑点も手作りなんです。ベースの地色だけあって、あとは生地を買ってきて、ひとつひとつ切ってアイロンで貼って。
浜田氏 これは彼(山田氏)に言われて気づいたんですけど、サーバルちゃんの斑点って、スカートの柄は斑点が上にいくにしたがって小さくなっていくんですが、腕の部分は上に行くにしたがって大きくなっているんです。
編集部 (イラストを確認中)ほ、ほんとだ!
山田氏 そういうのが、1個1個切って貼ってると気づくんですよね。
編集部 こだわりすぎていてビビりました。
浜田氏 荷室に積んである木製のベンチも、あれは「5話でアメリカビーバーたちが作ったベンチ」というモチーフなので、アメリカ産の針葉樹を使用しています。そのレベルまでやると、ファンの方からも認めていただけるんですね。
編集部 「そのレベル」が高すぎる。
浜田氏 おかげさまで、「けもフレ フィット」に関しては多くの方から褒めていただいてます。
編集部 東京オートサロンの会場で見た時にも「ここまでやるか……」と圧倒されました。特にハッチバックを開けてかばんさんとサーバルさんの後ろ姿が見えた時は、グッと来ました。
それと、ボディとウィンドウ外側に貼ってあるステッカーはシルエットのみなのに、ウィンドウの内側を見るとちゃんとキャラクターになっている工夫も見事だなぁと。
竹腰氏 かばんちゃんの帽子の穴の位置も原作どおりですし、羽は合う色に染めました。かばんちゃんのかばんは合う生地を探して縫い合わせてます。
編集部 な、なるほど。
竹腰氏 ステッカーのシルエットは、あれは(アニメ『けものフレンズ』の)オープニングをモチーフにしているんです。
編集部 あっ!!(不覚にも言われるまで気づかなかった)
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