新型クラウンへ至る「物語」 豊田章男社長が語った「ジャパンプライド」とクラウンへの熱い想い全文紹介

■なぜ一気に4種類の開発が可能になったのか

 4つのクルマを並行して開発するのは至難の業でした。それを可能にしたのが「カンパニー制」と「TNGA」です。この2つなくして、新型クラウンは実現できなかったと断言できます。

 まず一つ目、2016年から始まったカンパニー制です。

 それぞれのカンパニーには、担当のクルマに愛着を持ち、また、そのクルマのことを最優先に考える人たちがいます。そして、自分たちの意思で決断し行動することが使命です。

 ミッドサイズ・ビークルカンパニーとして、クラウンを一番に考える事ができたこと、また、プレジデントとして、自らの責任と判断で実行できたことが、非常に大きかったと思います。

 これまで当たり前だった開発プロセスを見直し、無駄を徹底的にそぎ落とし、リソーセスを確保しなくてはなりませんでした。そのために、例えば、製品企画と開発の各工程を、一つのチームにし、全員がプロであるという意識を高め、従来以上に緊密なコミュニケーションで乗り切りました。

 2つ目はToyota New Global Architecture、TNGAです。

 もっといいクルマづくりを実現するため、プラットフォームと、パワートレーンを刷新し、一体的に開発することで、基本性能を飛躍的に向上させることを目指し、2012年にその構想を立ち上げました。

 10年の時を経て、TNGAも成熟、進化し、その拡がりが、クラウンのシリーズ化を実現させました。

 TNGAプラットフォームでは、一目見て、このクルマが欲しいと思っていただけるデザインや、ずっと乗っていたいと思っていただける走り、乗り心地など、クルマの基本性能を高めて参りました。

 今回のクラウンでは、更に成熟させ、例えばこの、スポーツ、新開発した専用プラットフォームを用いてタイヤ大径化と共に、居住性とデザインの両立を狙い、造られています。

 TNGAパワートレーンでは、低重心化とともに、優れた走行性能と、環境性能を両立させ、ダイレクト&スムースを重点的に開発してきました。

 今回さらに進化させ、例えばこの、クロスオーバーでは、エンジンと電気モーターを直結させ、後輪にも大型モーターを搭載し、350馬力、550Nmというトルクフルな走りを実現。加えて、緻密な4輪駆動制御で、車両姿勢のコントロールも行う、新しいハイブリッドシステムも導入しました。

 クラウンのコンセプトは「トヨタブランドのフラッグシップ」です。

「カンパニー制」と「TNGA」で、4つのクラウンを並行開発し、それぞれのお客様のフラッグシップに相応しい品質に造り込み、お届けしてまいります。どうぞご期待下さい。ありがとうございました。

(ここで再び豊田章男社長に交代)

■「日本のクラウン、ここにあり」を世界に示したい

 いつの時代も、クラウンが目指してきたものは、「幸せの量産」だったと思います。

 クラウンは、日本の豊かさ、「ジャパンプライド」の象徴でした。そして、世界に誇る日本の技術と人財を結集したクルマでした。新型クラウンにも、そんな日本の底力が詰まっております。

 だからこそ、このクルマで、私たちはもう一度、世界に挑戦いたします。

 新型クラウンは、約40の国と地域で販売してまいります。シリーズの販売台数は、年間20万台規模を見込んでおります。

 クラウンが、世界中の人々に愛されることで、日本がもう一度、元気を取り戻すことにつながれば、こんなに嬉しいことはありません。

「日本のクラウン、ここにあり」。それを世界に示したいと思っております。

 最後に、世界のお客様へ、メッセージをお伝えしたいと思います。

I’m so excited to announce today… that this new Crown family of vehicles will be offered…not just in Japan… but globally…. for the very first time.
(本日皆様に、このニュースをお届けできることを大変楽しみにしてまいりました。新型クラウンシリーズは、日本だけではなく、初めて、グローバルに販売してまいります)

Customers from around the world will now get a chance to drive this historic Japanese nameplate… born out of passion, pride, and progress.
(日本の情熱、プライド、発展が生み出した歴史あるクルマに、世界中のお客様がお乗りいただけるようになります)

A car that could very well be… our crowning achievement!
(このクルマはきっと、クラウンの「最高傑作」になると思っております!)

 皆様、「日本のクラウン」の新しい未来に、ご期待ください。本日は、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。(以上)

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