■待望のハイパフォーマンスモデル「R」が登場
最大の目玉は、VWのハイパフォーマンスモデル「R」の初設定だろう。近年、輸入車SUVのハイパフォーマンスモデルは高い人気を得ており、VWでもティグアンに導入した「ティグアンR」が受注の全体の2割を超える人気グレードになっている。これらの背景を踏まえ、よりコンパクトなT-Rocにも「R」が導入されたわけだ。
T-Rocは、コンパクトなSUVボディに300ps/400Nmを発揮する2L直列4気筒ターボエンジンに、VWの4WDシステム「4MOTION」を組み合わせたもの。高出力エンジンを活かすべく、足回りは専用スポーツサスペンションとアダクティブシャシーコントロール「DCC」を標準化。
もちろん、ブレーキシステムは強化され、タイヤも235/40R19のワイドタイプを装着する。ブレーキシステムは、Rのイメージカラーであるブルーで塗装され、特別感も演出する。
エクステリアは、R専用のスポーツデザインに変更されるが、R-Lineに近いデザインであり、Rバッチもさり気なく装着されるため、ヤンチャな印象は薄め。しかし、リアテールの4本出しテールパイプがハイパフォーマンスモデルであることをさり気なく主張し、クルマ好きの心を刺激する。
専用のレザーステアリングには、ドライブモードを変更する「ドライビングプロファイル」の操作ボタンが備わり、レースモードを選択すると、エンジンや駆動系、ダンパーなどをレーシーなセッティングに変更できる。
また、4WDシステムにもモード切替機構があり、4WDの強みを活かし、「オフロード」や「スノー」といったモードが用意され、スポーツドライビングだけでなく、日常や趣味でも活躍するクルマに仕上げられていることがわかる。
インテリアでは、ダッシュボードの加飾に「R」のイメージカラーのブルーが積極的に使われ、シートはホールド性と触感に優れるナパレザーのトップスポーツシートを標準化。
さらに他グレードではオプションのSDDナビゲーションシステム付きのインフォメーションシステム「Discover Pro」やステアリングヒーターなどが標準化されるなど、装備の充実化も図られている。
2021年の輸入SUVでは、VWが人気を集め、登録台数1位がコンパクトSUV「T-Cross」、2位が「T-Roc」であった。より質感を増したことで、弟分の「T-Cross」と差別化を図ることで、より多くのユーザーの獲得に繋がるかが注目される。
また、先にも述べたが、上位モデルであるコンパクトSUV「ティグアン」のRが好調ということもあり、より価格を抑えた高性能車「T-Roc R」が販売増に貢献する可能性も高い。ゴルフともサイズが近いため、ゴルフRファンなどからも注目を集めそうだ。
最近の資源価格や輸送コスト、為替などの影響からエントリー価格も上昇し、メイングレードである「スタイル」の価格も上昇している。しかし、意外にも上位モデルの「TDI Rライン」の上昇分は少なめ。
最新型では、必要十分な装備を備える新エントリーグレード「TSIアクティブ」か、充実装備を誇る「TDI Rライン」を狙うという選択もありなのかもしれない。新たな最上位「R」については、4WDという強みはあるものの、「TDI Rライン」と比べ、約166万円も高価なので得られる喜びも大きいが、その対価も求められる。SUV人気の今、そろそろ手頃な4WDモデルにも期待したいところだ。
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