■より乗用車っぽく使える軽商用バンとして誕生
新型スペーシアベースの最大の特徴は「派手なフロントマスク」。これまで軽商用バンといえば「可もなく不可もない無難な顔」というイメージだったが、スペーシアベースは(「素」のスペーシアではなく)スペーシアカスタムをベースとした「いかつい顔」を採用。N-VAN、アトレーといった強力なライバルたちに対して、「より売れ筋な顔を採用すること」で勝負を仕掛けている。
後発であるからこそ商品力も高く、隙間のないフルフラットなフロアと低く抑えた荷室開口地上高による使いやすい荷室、スペーシアと同等の乗り降りしやすいシート高や、乗り心地のよいフロントシートを採用。全車標準装備のマルチボードを使うことで、車中泊やワーケーションなど、目的に合わせて室内空間を自由にアレンジすることが可能となっている。
オーバーヘッドシェルフやリヤクォーターポケット、フロアコンソールトレーなど多彩な収納スペース、ユーティリティーナットやLEDルームランプ、運転席&助手席シートヒーター、助手席シートバックテーブル、防汚タイプラゲッジフロア、USB電源ソケット[Type-A/Type-C]など、スズキらしい細やかな使い勝手の高さも魅力的。
開発の思想としては、「より乗用車っぽい軽商用バン」と見た。
素のスペーシアやワゴンRから乗り換えても、それほど「商用軽っぽさ」が気にならない室内空間と走行性能を持つ。そのいっぽうでスズキは、(ダイハツがアトレーとハイゼットカーゴを分けたように)「より商用車らしい需要」をキープするため、スズキの軽商用バンのエースであるエブリイは継続して生産する。エブリイの最大積載量は350kgなのに対して、スペーシアベースは200kg。
「商用バンっぽい商用バンが欲しい人はエブリイを、乗用軽っぽい商用バンが欲しい人はスペーシアベースを」という、実にスズキらしい戦略。
なお個人的にはメーカーオプション装備である「外部電源ユニット(48,950円/税込)」が、よく考えられているなあと感じた。外部電源(屋外コンセント等)にスペーシアベースを繋ぐことで、車内でバッテリー上がりを気にせずエンジンを切ったまま1500Wまでの電化製品(PCなど)を使用することができる装備。
こうして紹介記事を書いていても「うーん、売れそう」という感想が止まらない。販売計画は年間1万台(月間約833台)。N-VANやアトレーの活躍を考えると、この計画台数の2~3倍は売れそうだ。
【スペーシアベース主要諸元(GF(2WD))】
全長×全幅×全高…3395×1475×1786mm
ホイールベース…2460mm
最低地上高…150mm
荷室床面地上高…540mm
荷室寸法([ ]は4名乗車時)…長さ1205[735]mm×幅1245[1265]×高さ1220mm
車両重量(最大積載量)…860kg(200kg)
乗車定員…2[4]名
燃料消費率(WLTCモード)…21.2km/L
エンジン型式(種類)…R06A型(水冷直列3気筒)
最高出力…52PS/6500rpm
最大トルク…6.1kgm/4000rpm
トランスミッション…CVT(全車)
車両本体価格…139万4800円(消費税込み)
コメント
コメントの使い方N-VANて滅多に見かけないが、本当に売れてるのか?