今度は買える! ひょっとすれば内燃機関は今回が最後!!? 新型シビックタイプR プロドライバーが鈴鹿で実感した進化

■トレッドを実際の数値以上に感じる操縦性の高さ

慣性で4輪をスライドさせながらもしっかりと高いコントロール性を維持するため、安心してコーナーにアタックできると山野選手は言う
慣性で4輪をスライドさせながらもしっかりと高いコントロール性を維持するため、安心してコーナーにアタックできると山野選手は言う

 コーナリングは新型タイプRの真骨頂を実感する。

 例えて言うなら、「クルマが正方形に感じる」のだ。実際には全長は全幅に対し2倍以上長く、長方形なのだが、長さを感じない操りやすさなのだ。

 具体的にはトレッドが実際の数値以上に広い印象で、グッとタイヤが接地してしっかりと路面をつかんでいることがステアリングを通じてわかる。

 ステアリングギア比はそれほどクイックレシオではないのだが、あたかもクイックレシオのように、操舵に対しダイレクトにノーズが反応する。

 車体剛性はもちろんだが、ステアリング系やサスペンションを構成するパーツのどこかひとつにでも緩さや遊びがあったら、このダイレクトでスムーズな操舵反応は得られない。

 タイヤサイズを従来型の245/30R20から265/30R19に変更したことも効いているのだろう。

 タイヤが持つ衝撃吸収ダンピングのよさなどから、最適なしなりを発生させながら、接地面がしっかりと引き出されている印象だ。

アクセル操作に対するトルク立ち上がりの反応がよく、低い回転からしっかりとトルクが出ているため、コーナー脱出時の加速が従来型より鋭い!
アクセル操作に対するトルク立ち上がりの反応がよく、低い回転からしっかりとトルクが出ているため、コーナー脱出時の加速が従来型より鋭い!

 とにかくコントローラブルで安心してコーナーにアタックすることができる。

 試乗会当日は外気温が29℃と高かったにもかかわらず、2分26秒92というベストラップを刻んだ。

 これは市販車としては驚異的なタイム。シビックタイプRはS耐レーシングマシンのようなパフォーマンスを見せつけてくれた。

 もちろん、まったく欠点がないということではなく、コーナリングで最大限に横Gがかかった状態で、“ダッダッダッ”とリバウンドするような動きをする場面があった。

 これは乗り方で改善するのだが、想定以上の入力が入った時の動きとしては、ハード面での改良ポイントとして開発陣には伝えた。

 ただし、サーキットで限界の限界を引き出した際の、極めて限定的な場面での話ではある。

 新型シビックタイプR、開発陣が目指したように“FF最速マシン”を実現していると実感できた。

●ホンダ シビックタイプR主要諸元
・全長:4595mm
・全幅:1890mm
・全高:1405mm
・ホイールベース:2735mm
・車両重量:1430kg
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・ボア×ストローク:86.0×85.9mm
・総排気量:1995cc
・最高出力:330ps/6500rpm
・最大トルク:42.8kgm/2600-4000rpm
・トランスミッション:6速MT
・ギア比:1速:3.625/2速:2.115/3速:1.529/4速:1.125/5速:0.911/6速:0.734
・最終減速比:3.842
・タイヤサイズ:265/30R19
・サスペンション:ストラット/マルチリンク
・価格:499万7300円


(TEXT/山野哲也)


【解説01】新型シビックタイプRここが進化のポイント

特にフロントサスはジオメトリーを最適チューニング
特にフロントサスはジオメトリーを最適チューニング

 基本ボディはベースとなるシビックを踏襲するが、タイプR専用に徹底的に剛性を高めた。

 特にステアリング剛性はこだわった部分で、緻密な操舵に応えるサスペンションとの連携で、高い操縦性を実現。

 ワイドトレッド化、265/30R19のタイヤを履きこなすためにキングピン軸を外側に移動するなど、チューニングを施した。

 タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4SをタイプR専用チューニング。

 コーナリング時に接地内側の変形を抑制し、タイヤの接地面を生かし切るため、19インチ鍛造アルミホイールはイン側リムを表側に出した「リバースリム」を採用。

330ps/42.8kgmを発揮する直4、2Lターボを搭載する
330ps/42.8kgmを発揮する直4、2Lターボを搭載する

 エンジンは直列4気筒1995ccターボで、基本は従来型を踏襲するが、吸気経路のフリクション低減、ターボチャージャーの小型軽量、低フリクション化による高回転化などにより、低回転からトルクが立ち上がり、シャープな応答性を実現。

 最大トルクの42.8kgmは2600rpmから4000rpmでフラットに発生。最高出力は330psを発揮する。

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