■「リアのマルチリンクサスのおかげで高い安定感を誇る!」(松田秀士)
クロスオーバーモデルとしてデビューした新型クラウンの試乗会。時系列順に初試乗でのボクの評価を記そう。
まず起点のホテルを出発。20km/h前後の速度でエントランスから一般道に抜ける。この時、室内の静粛性、路面をなぞるような乗り心地。
確かにこれはクラウンだ! 静かで心地よい。速度は40km/h前後だがなかなかいい。
そのまま首都高に入る。ゲートを通過して本線に合流。突然、粗いサーフェース路面で室内がゴー、ザーというロードノイズに包まれる。
耳障りではないがこのクルマがクラウンだと思うとちょっとキツイ。同時に継ぎ目を通過する時の突き上げが少し気になる。
どうやら速度域によってロードノイズも乗り心地も評価が変わるようだ。
ホテルを出発した時から感じていたことだが、アクアなどにも採用されたバイポーラ式バッテリーと2.5Lハイブリッドのコラボレーションは非常によく、発進時から低速時、さらに高速でも力強い加速感だ。
帰路、首都高のちょっと速度を上げた曲がりくねった道。リアマルチリンクの性能がよろしく、落ち着いたなかにもコーナリングをコントロールするのが楽しい自分に気づく。
結論、60km/h以下の総合評価は高い。
60km/hを超えるとロードノイズなどの室内騒音と乗り心地に難がある。ただし、うねりのある古びた路面での高速コーナリングは頼もしく安定している。
リアマルチリンクサスの効果だろう。あと内装、特にディスプレイ含めダッシュボードデザインをエクステリア同様にポップなものに仕上げてほしかった。
●松田秀士の採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:8点
・静粛性:6点
・内外装の質感:7点
・乗り心地:7点
・コストパフォーマンス:7点
(TEXT/松田秀士)
■「走りの質感は上々。ただクラウンらしいかと言われると……」(岡本幸一郎)
新型は伝統の縦置きFRではなくなったわけだけど、いざ走ってみると駆動方式が云々というのはあまり気にならない仕上がりだった。
強力なモーターを駆使して後輪を駆動していて、それが乗り味において大きな意味を持っている。
「効いてるな」と感じるのは、滑りやすい路面での発進だけではない。
ターンインでの応答遅れのない素直な回頭性、コーナリングでのニュートラルなステア特性、ハンドルを戻した時の収まりのよさ、ごく普通に走っている時のリアの落ち着きにも、すべてリアモーターが寄与している。
リアの左右輪にそれぞれ最適な駆動力を与えているのだが、そのさじ加減も絶妙で、自然でなんの違和感もない。
おそらくこうできる見込みもあったから、クラウンをFFベースにしても大丈夫と開発陣も判断したのだろう。
音については、静粛性はまずまず。
エンジン音も気にならないようにかなり対策されているものの、やはり横置きの4気筒というのは、人によっては物足りなく感じられるはず。
かすかにしか聞こえないとはいえ、そのかすかが高級車にとっては重要だったりするし、横置きと縦置きだと伝わってくるエンジンの鼓動感というか振動の質感がやっぱり違うのは否めず。
欧州プレミアムブランドにも実はFFベースという超高級車(※VW系の一連の車種のことです)も存在するけど、エンジンは縦置きにしてマルチシリンダーを用意しているもんね。
ただ、これまでの日本車にはない雰囲気を持ったクルマだとはいい意味で思うけど、今のところ筆者にはこのクルマがクラウンには全然見えないんだよね……。
●岡本幸一郎の採点表
・ハンドリング:9点
・加速性能:7点
・静粛性:8点
・内外装の質感:7点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7点
(TEXT/岡本幸一郎)
●トヨタ クラウンクロスオーバー(Gアドバンスドレザーパッケージ)主要諸元
・全長:4930mm
・全幅:1840mm
・全高:1540mm
・ホイールベース:2850mm
・車重:1790kg
・エンジン:2.5L直4DOHC+モーター
・最高出力:186ps/6000rpm
・最大トルク:22.5kgm/3600~5200rpm
・モーター:(F)119.6ps/20.6kgm(R)54.4ps/12.3kgm
・WLTCモード燃費:22.4km/L
・価格:570万円
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