三菱ふそうトラック・バスは、昨秋発表した小型EVトラック「eキャンター」の新型モデルを、3月9日から正式に発売した。新開発eアクスルと高性能バッテリーにより、最大で324kmもの航続距離(国交省審査値)を達成。EVトラックのパイオニアとして培ってきた経験とともに、カーボンニュートラル輸送の実現に向けた提案活動を展開していく方針だ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/三菱ふそうトラック・バス、「フルロード」編集部
EVトラックの先端技術を満載
eキャンターは、2017年9月に初代モデルを発表、限定的とはいえ高性能量産型EVトラックの先駆けとしてリース販売を実施してきた。それから5年を経た昨年9月7日、初のフルモデルチェンジを予告し、今春の発売を発表していた。
新型eキャンターでは、全世界で400台以上の運用実績をもつ初代モデルの経験をフィードバック、先進的なEVトラック技術である「eアクスル」「モジュール式高電圧バッテリー」「ePTO」を採用することで、初代を大きく上回る性能と架装性、国内28車型のシャシーバリエーションを実現し、さまざまな用途に対応できるEVトラックへと進化した。
エクステリアは、現行キャンターと基本的に共通だが、eキャンター専用の配色となっている。インテリアについては、ダッシュボードを流麗なデザインへ一新するとともに、乗降グリップの大型化や、メーターパネル全面を10インチカラーLCDとするなど、より運転しやすく改良した。
また、運用実績に基づくドライバー向け装備として、寒冷時用のステアリングヒーター、シートヒーター、ウインドゥシールドヒーターをオプション設定した。いずれも、大きな電力消費を伴う暖房空調を節約しながら、必要な箇所を暖められる機能である。
気になる販売価格(東京地区・含消費税)だが、ディーゼルキャンターで多用されている車型の一つである最大積載量2トンの標準幅キャブ・ホイールベース2500mm(標準ボディ)・全低床の場合、Sサイズバッテリー・平ボディ架装で1370万500円となる(型式:ZAB-FEAVK)。大型トラックに手が届きそうな価格だが、さまざまな補助制度を活用すれば、小型トラックとして現実的なイニシャルコストで導入できるだろう。