レクサス 開業30年の評価と現在地 トヨタの高級車戦略は成功か失敗か!?


 トヨタの高級車ブランド、「レクサス」誕生から30年。その歩みと30年の評価は?

 レクサスが1989年に北米で展開してから2019年でちょうど30年の節目を迎えた。当初は海外のみの展開だったものの、2005年には日本でもレクサスが開業。それから現在まで着実に成長を遂げてきた。

 一方で、日本の高級車市場ではメルセデスベンツやBMWといったドイツ車の存在感が高く、必ずしもレクサス優勢とはなっていないのが現状だ。

 そもそもなぜトヨタはレクサスを立ち上げたのか? 誕生から現在までの軌跡と開業30年の評価は?

文:渡辺陽一郎
写真:編集部、LEXUS
ベストカー 2019年12月26日号

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そもそもなぜトヨタはレクサスを立ち上げたのか

1989年に発売されたトヨタ セルシオ。海外ではレクサスのフラッグシップセダン「LS」として販売された

 トヨタの1950年における年間生産台数は1万2000台だったが、1970年には160万台に達した。1977年には272万台まで増えている。

 1970年代に急増した理由は、国内の好調に加えて、北米に向けた輸出台数も大幅に増加したためだ。

 1973年の第4次中東戦争によるオイルショックでガソリン価格も高騰。1970年代中盤には、北米で燃費の優れた日本の小型車が売れゆきを伸ばした。

 その後も日本車は好調に売れて、1980年にトヨタの生産台数は338万台に達する。このうちの55%は北米を始めとする海外で売られた。

 ただし、日本車のイメージは、依然としてオイルショックの時に身に付いた実用志向だ。低燃費で故障が少なく、割安に買えることが特徴だった。トヨタのブランドでは、高級車市場に乗り出して売れゆきを伸ばすには限界がある。

 そこで立ち上げたのがレクサスだ。トヨタの名称を使わず、商品から販売店まで、新規にそろえるプレミアムブランドを計画した。

 そして、レクサスの最上級車種として開発されたのが、日本ではセルシオとして売られたレクサス LSだ。

 初代LSの開発は周到で、開発期間は通常より長い5年を費やした。北米で入念な市場調査を行い、LSに必要な要素は、高いプレステージ性、高品質、高性能、優れた安全性、数年後の売却時に価値が下がりにくいリセールバリューだと判断した。これらは後のレクサス車を開発する柱にもなっている。

当初は日本未展開! なぜレクサスは北米でヒットしたのか

日本ではアルテッツァとしてお馴染みの初代レクサス IS。2代目からは日本でもISが発売されるに至った

 そして1989年に北米で初代LS、日本では初代セルシオが発売された。1989年における北米のレクサス店舗数は81カ所と少なかったが、順次拡大していった。

 LS以外の車種は、1989年からESも用意した。日本のカムリプロミネントをベースに開発されている。1991年にはSC(3代目ソアラ)、1993年にはGS(日本名:アリスト)、1995年にはLX、1998年にはRX(ハリアー)、1999年にはIS(アルテッツァ)と、品ぞろえを充実させた。

 レクサスの開発者に、1990年代に北米でレクサスが定着した理由を尋ねると、次のように返答された。

「まず初代LSの商品力が、新規参入だったレクサスのブランド力を大きく高めた。LSの上質感と静粛性は、お客様からメルセデスベンツを超えたと評価されている。

 2つ目には販売店のサービスがあった。例えば点検や修理を行う場合、お客様に伝えた見積り金額や納期を守る。店舗も清潔で、接客をていねいに行うこともレクサスの魅力とされた」という。

 初代LSの商品力は納得できるが、後者は不可解だ。納期を守るとか、接客をていねいに行うことは、クルマの販売店として当然だろう。

 この点を改めて尋ねると、

「当時の北米における自動車ディーラーは、率直にいって質が低かった。歯医者と同じくらい行きたくない場所、という例え話も聞かれたほどで、レクサスはそこを是正した」とのことだ。

 つまり、日本国内のトヨタ店やトヨペット店が行うサービスを当時の北米で展開すると、プレミアムブランドの水準に達した。

 そうなると顧客サービスの優れた日本国内では、レクサスは不要であった。そこでLSはセルシオ、GSはアリスト、ISはアルテッツァ、RXはハリアーという具合に、別の車名でトヨタの販売店が扱っていた。

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