まもなく日産は、中国で新型EVセダンN7を発売する。その詳細を見てぶっ飛んだ。リーフの2倍も回るモーターに驚異の充電性能、話題のディープシークを使ったインフォテインメントまで、これなら世界で戦えるじゃないの!!!
文:ベストカーWeb編集部/写真:東風日産、日産自動車
ポルシェ タイカンを超えるボディ剛性!
中国では広汽トヨタが電動SUV「bZ3X」を発表したばかりだが、まもなく日産も新型車をリリースする。2024年11月に初公開された電動サルーン「N7」だ。
3月1日に東風日産が開いた技術説明会で、その「N7」の詳細が明らかになった。近ごろの日産は苦戦ばかりが伝えられるが、N7の出来はそのイメージを覆す骨太なものだった。
まずはプラットフォーム。「天演」と名付けられたN7の車台は、素材に1700MPaという強度を持つ鋼材を用い、なんと5万Nm/degというねじれ剛性を誇る。ポルシェ タイカンの剛性値が4万Nm/degと聞けば、そのすごさが分かるだろう。
軽量化の点でも抜かりはない。シャシーに電池セルを直付けする「セル・トゥ・シャーシ」という工法で重量増を抑えたほか、フロントにある全長878.7mmという衝突緩衝梁が、ボディサイドのアルミ合金ドアビーム(サイドシル幅なんと250mm!)と相まって高レベルで乗員を保護する。
バッテリーについては詳細が明かされなかったが、800Vアーキテクチャで480kW充電に対応したもの。7分未満で400km走行分の充電ができるというから相当なキャパシティだ。多様なエネルギー動作モードで暖房エネルギーも抑えられる他、セルに4本の長釘を刺す熱拡散実験にも合格しているという。
2万5000回転回る高性能モーターを搭載!
さらにすごいのはモーターだ。N7はモーターやインバータなど、なんと14のユニットを一つのケースに収めた「14 in 1」のeアクスルを採用し、CAN通信の100倍以上という1/10000秒の応答速度を実現した。しかもそのサイズは世界最小で、ケース高さは325mmというのだ。
さらにモーターの最高回転数は2万5100回転。近ごろ話題のシャオミSU7ウルトラの2万7200回転には及ばないが、リーフの1万500回転の2倍以上という回転数(=高効率)だ。N7はこのモーターを前後に搭載する4WDモデルも設定するはずだ。
ダイナミック性能もあなどれない。横剛性を高めた足回りと230mmというサスペンショントラベル量により、高い車両安定性を実現した。5ミリ秒以下のエアスプリング調整速度、秒間100回という電制ダンパーの制御によって、快適性も確保しているという。
これらのシャシー技術を応用して車体姿勢やシート(!)の制御も行う。ロールやピッチング、凹凸路での上下動などを抑えることができ、乗員の乗り物酔い抑制にも大きな効果があるそうだ。
日本にやってくる可能性も!?
中国となると自動運転が無視できないが、このあたりもN7は抜かりがない。現地の自動運転ベンチャー「モメンタ」と組んで、NOA(ナビゲーションとリンクしたオートパイロット)を実現した。高速道路はもちろん都市部の複雑な交通モードにも対応するようだ。
コックピット回りのインテリジェント化だが、クアルコムの通信SoC「Snapdragon8295」を搭載し、音声による各種指示やシーンカスタマイズなどができるのは当然。今回すごいのは今話題のAI「ディープシーク」をいち早く導入したことで、ドライブ提案や名所解説など、幅広いエージェント機能が実装されるとおもわれる。これらの仕組みは日産の新ソフトウェア「NISSAN OS」上で稼動するはずで、ネットを通じて機能のアップデートも行われるはずだ。
ここまで見てくるとN7の「戦闘力」は実に高いと思われる。あとは価格だが、現時点では20万元程度(約400万円)といわれており、これまた競争力あるプライスだろう。
気になるのはこのN7の輸出の可能性だ。東風日産は技術発表会で「N7は世界に向けたグローカルモデル」と紹介した。グローカルとは「地球規模の視野を持つローカル製品」ということだが、そのテイでいけば、N7は海外でも販売される可能性があるということになる。
まず想定されるのは欧州だが、手頃なEVは日本でも待ち望まれている。既成の枠組みに捕らわれない大胆な発想を、日産には期待しよう!
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コメント
コメントの使い方今ならまだ即崩壊な訳じゃない日産も、主戦場中国でこれがコケると危うくなってきます。
成功させて、挽回して欲しい。それには少なくとも中身がVWのID.Every1は超えてないと