ホンダや日産の「軽偏重」も登録車のトヨタ天下を後押し
先に述べた通り、2019年度上半期にトヨタの登録車市場におけるシェアは48%に達したが、軽自動車を含めた総市場で見ると、トヨタのシェアは31%に減ってしまう。10月と11月は登録車のシェアは50%を超えたが、総市場では両月ともに33%にとどまる。
今では国内で売られる新車の37~39%が軽自動車で、ダイハツとスズキ以外のメーカーも販売比率を高めた。
ホンダは国内で売られるクルマの30%以上がN-BOXで占められ、N-WGNなども含めた軽自動車全体となれば50%を超える。日産も直近の販売データを見ると、軽自動車比率が40%を上まわった。
従って登録車と軽自動車を合計した「国内総合販売ランキング」になると、上位の顔ぶれは大幅に変わってしまう。
2019年10月の1位は軽自動車のN-BOX(スラッシュを含む)、2位はスペーシア、3位には登録車のカローラシリーズが入ったが、4位は再び軽自動車のタント、5位はデイズ/デイズルークスであった。
2019年11月は、1位がタント、2位はN-BOX、以下スペーシア、デイズ/デイズルークスと続き、5位にカローラシリーズが入った。デイズとデイズルークスは別の車種だから、合計して算出するのは無理があるが、それでもN-BOX、タント、スペーシアの3車種は、国内総合販売ランキングの定番トップ車種だ。
そして国内におけるメーカー別販売ランキングは、1位がトヨタ、2位はホンダ、以下スズキ、ダイハツ、日産と続く。2~4位の主要メーカーが軽自動車で売れ行きを伸ばすようになり、登録車はトヨタの天下になって、シェアも50%を上まわった。
打倒トヨタの切り札候補! 日産&ホンダの新型車に注目
さて今後の登録車販売ベスト5はどうなるのか。上位に喰い込めそうな他メーカーの車種を挙げてみたい。
注目度が高いのは日産 キックスだろう。ジュークの後継車種に位置付けられ、全長は4400mm以下で全幅も1800mm以内に収まるから、ボディの大きさはC-HRやヴェゼルに近い。
エンジンは1.5Lノーマルタイプに加えて、1.2Lをベースにしたe-POWERも設定される。価格をライズと同等か少し高い程度、つまり1.5Lエンジンを搭載したベーシックな買い得グレードを190~200万円で設定すれば、ユーザーに注目されそうだ。
直近で最も現実的なのは2020年2月に発売される新型フィットだろう。
フロントマスクのデザインが個性を強めてグレード構成も少し繁雑だが、後席の居住性はミドルサイズセダン並みに広くて快適だ。燃料タンクを前席の下に搭載したから、全高は立体駐車場を使いやすい高さに抑えながら荷室容量は大きい。
さらに新型ではボディ剛性の向上などによって走行安定性と乗り心地が良くなり、ハイブリッドシステムも2つのモーターを搭載するタイプに進化して高性能化する。その一方で競争の激しい分野だから価格はあまり高まらず、買い得感は抜群に強まる。
フィットとほぼ同時期に新型ヤリスも発売されるので、どちらがトップ5に入るのか、両方入ればどちらが上になるかも注目されそうだ。
このほか次期型ノートも期待される。現行型の発売は2012年だから、e-POWERの追加によって堅調に売れているものの、今では走行安定性や乗り心地などの基本性能に古さを感じる。2020年にはプラットフォームを刷新して登場しそうだ。フィットのように空間効率を向上させ、3列目シートを備えた車種が設定される可能性もある。
キックス、フィット、ノートは海外でも売られるが、日本の市場に適した商品だ。販売に力を入れれば、登録車のトップ5に入ることは可能だろう。さらに軽自動車を含めた国内総合販売ランキングの上位も狙って欲しい。
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