■国内産業構造を見直すきっかけに
相互関税は米国に依存しすぎた国内産業構造を見直すきっかけとなるでしょう。しかし、自動車産業は簡単に脱米国とはなれません。
第1に、日本の自動車産業は中国で敗走し、米国以外の地域ではインド市場を除いて中国メーカーの攻勢を受け続けています。
第2に、米国市場は日本車にとってホームマーケットに等しい重要な市場なのです。世界の自動車メーカーには自身のホームマーケットがあり、その基盤で世界と戦っています。しかし日本車メーカーにとって日本国内市場は小さく、米国で築く競争力が世界で戦う原動力となります。
技術を磨き、台数規模を拡大し、キャッシュフローを生み出すのは米国市場がなければ実現できません。このホームマーケットを失うことは産業の終焉を意味するのです。
今回の危機は、プラザ合意、日米貿易摩擦、リーマンショックに次ぐ4度目の重大な経営危機に位置づけられます。過去は危機が飛躍の好機を生みました。危機はほぼすべての自動車メーカーを襲っています。日本車ならではの魅力的な価値を訴求するチャンスでもあるのです。
コメント
コメントの使い方数字を無視した楽観視も多い中、現実をみた記事だと思います。ありがたいです
北米でのサプライ確立が急務ですが、現状極端に高い人件費のみならず、低い品質、一層多くなるストも大問題で、どれも実際の対策が非常に難しいです。それこそ米国自動車業界や製造業全体を変えないと解決はしない問題。
当然対策には動きつつも、トランプが投資家ほぼ全体からNOを突きつけられて大幅な軌道修正迫られることを祈るしかない現状…。